研究課題/領域番号 |
22K14638
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分31020:地球資源工学およびエネルギー学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
吉田 彬 早稲田大学, スマート社会技術融合研究機構, 次席研究員(研究院講師) (90707887)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 蓄エネルギー資源 / 需要家側エネルギー資源 / 運用計画 / 分位点予測 / 地域冷暖房システム / 配水システム / 最適運用 / 蓄エネルギー / エネルギー管理システム / 再生可能エネルギー / 最適設計 |
研究開始時の研究の概要 |
カーボンニュートラルの実現に向け,既存設備を最大限活用しつつ需要家側のエネルギー転換への受容性を高めることが求められており,解決策としてデジタル通信を用いて需要家側資源を遠隔から運転管理するエネルギー管理システム(EMS)と,EMS同士の双方向通信に期待が寄せられている.本研究の目的は,需要・電力市場価格および変動性再生可能エネルギー(VRE)の発電量など種々の不確実性を有する要因を予測し,予測値と予測の信頼度を入力として運転管理を弾力的に行う方法論を構築することである.提案手法により,蓄エネルギー資源を経済・環境性など同一基準で整理し,需要家側蓄エネルギー資源の価値評価手法の確立を目指す.
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研究実績の概要 |
カーボンニュートラルの実現に向け、既存設備を最大限活用しつつ需要家側のエネルギー転換への受容性を高めることが求められており、解決策としてデジタル通信を用いて需要家側エネルギー資源(DSR)を遠隔から運転管理するエネルギー管理システム(EMS)およびそれらのアグリゲーションに期待が寄せられている。本研究の目的は、需要・電力市場価格および変動性再生可能エネルギー(VRE)の発電量など種々の不確実性を有する要因を予測し、予測値と予測の信頼度を入力として運転管理を弾力的に行う方法論を構築し、本方法論を用いて既存のエネルギー供給システムを社会の要請に応え利活用する評価指標を整理することである。 2022年度は、まずは需要時系列予測問題に対する分位点予測手法を開発した。次いでDSRの運用計画問題に対して目的関数へ二乗誤差項を追加することで目標値をソフト制約として追従する最適化問題を開発した。本運用計画問題は、分位点予測された時系列を外生変数として与えることで、デマンドレスポンス(DR)が発動されない場合の通常の運用を模擬する。また、二乗項を目的関数に多く含む最適化問題は、決定変数が連続・離散かつ制約変数が線形であれば汎用MIPソルバで解くことが出来るものの、計算時間に課題があることを確認した。そこで、制約条件をラグランジュ乗数法により目的関数に加算する変換を行い、アニーリングソルバにより近似解を高速に得るアルゴリズムを開発した。さらに、実際のDSRのプロセス変数を収集・整理して予測・モデル化し運用方策の導出までの一連のアルゴリズムを評価・分析し、現実のシステム運用に適応しうることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は、DSRとして(a)配水システムおよび(b)地域冷暖房システムを考察の対象に取り上げ、(1)配水池および蓄熱槽を蓄エネルギー資源と捉え抽象化してエネルギー流に着目したモデル化を行った。(2)蓄エネルギー資源は、運用方策により異なる価値を提供するため、炭素排出量の観点で最適な運用方策同士でその性能を評価する枠組みを構築した。これら2点を達成したことで本研究のミニマム成功基準を満たした。この結果は国際学会・国内学会で発表した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、異なるEMSを有しかつ地理的にも分散配置されたDSRに対して、それらの発電・消費の計画・実績を通信することで蓄エネルギー資源を有する複数のプロセスが協調的に単一の目的を実現する枠組みを開発する。その過程で、分散配置されたDSRを運用するための情報システムの要件と設計指針を整理する。また、任意のエネルギー供給システムのプロセス変数を取り込めるデータベースを整備し、実プロセスの環境価値評価と運用方策提案を行える枠組みへの拡張を目指す。
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