研究課題/領域番号 |
22K14649
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分32010:基礎物理化学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
村松 悟 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 助教 (40837796)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 構造ゆらぎ / 金属クラスター / 分子クラスターラジカルイオン / 衝突誘起解離 / クラスター開裂 / 極低温イオントラップ / 光解離分光 / 電荷共鳴相互作用 / 配位子保護金属クラスター / 異性体選別 / 気相分光 / 二重共鳴分光 |
研究開始時の研究の概要 |
有機配位子で表面保護された金属クラスターにおいて,その金属コア構造・配位子の配座が柔軟に変化することで,エネルギー的に近接した複数の安定構造(異性体)が共存すること(構造ゆらぎ)が最近になって見出された。本研究では,ゆらぎの中で現れる各異性体の構造を明瞭に区別しながら別々のスペクトルとして取得することが可能な気相極低温環境下での異性体選別分光をこれら金属クラスター系に適用する。幾何構造に依存して敏感に変化する配位子間の相互作用やクラスターコアの電子状態を分光学的に捉えることで,配位子保護金属クラスターにおける構造ゆらぎの起源や役割を解明することを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は,有機配位子によって表面保護された金属クラスターを主な対象としながら,「構造ゆらぎ」(クラスターコア構造の柔軟な変化)に起因する電子状態変化や機能発現を明らかにすることを目的としている。そのためには気相環境下での分光分析が最適な手法であると考え,そのための装置開発も進めている。2022年度に得た主要な成果は以下の通りである。 (1) 不活性緩衝ガスとの衝突により,準閉殻電子配置を持つ偏平型ホスフィン保護金クラスター[Au9(PPh3)8](3+)の構造ゆらぎが誘起され,その結果として価電子数の変化を伴うクラスターコア開裂が生じることを,質量分析とDFT理論計算によって明らかにした。この成果を学術論文としてまとめ,現在投稿中である。 (2) 極低温イオントラップ-光解離分光装置の立ち上げの過程でテスト試料として用いた二硫化炭素2量体クラスターラジカル正イオン([(CS2)2]((dot)+))において,可視光解離スペクトルの形状が顕著な温度依存性を示すことを見出した。CASSCF法に基づく量子化学計算を併用することで,このスペクトル変化が構造ゆらぎに伴うクラスター内電荷共鳴相互作用の強さの変化に起因することを突き止めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究開始当初は有機配位子保護金属クラスターの極低温光解離分光を進めることだけを計画していたが,研究を進める中で以下の思いがけない発見に恵まれたため,当初の計画を越えて研究を進展させることができたと評価する。 (1) 不活性緩衝ガスとの衝突によって金属クラスターの構造ゆらぎを誘起できることを見出したこと。特に準閉殻電子配置を持つ金クラスターに着目したことで,これまでほとんど報告のなかった価電子数の変化を伴うクラスター開裂を観測できたこと。 (2) 分子クラスターラジカルイオンにおいても室温程度で構造ゆらぎが生じ,電子状態に敏感に反映されるさまを明らかにできたこと。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の発見をさらに発展・深化させるべく,衝突誘起解離質量分析法を他の金属クラスター系にも適用し,構造ゆらぎに起因する特異な解離パターンの探索を進めていくことを計画している。また,極低温光解離分光法を他の分子クラスターや有機配位子保護金属クラスターへと適用し,構造ゆらぎに伴う電子状態の変化や,それに伴い発現する機能を明らかにする。
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