研究課題/領域番号 |
22K14654
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分32010:基礎物理化学関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
遠藤 友随 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 関西光量子科学研究所 量子応用光学研究部, 主任研究員 (60823929)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 強レーザー場 / 2色レーザーパルス / 光電子分光 / 超高速分光 / 電子再衝突 / 位相制御2色レーザー場 / 解離反応 / 超高速分子ダイナミクス |
研究開始時の研究の概要 |
分子内の電子が感じるクーロン場に匹敵する強度のレーザー場中で分子内の結合が切断する分子解離過程では、強レーザー場中に特徴的なトンネルイオン化によって放出された電子が親イオンに衝突する電子再衝突過程が重要な役割を果たしていると考えられている。本研究では、強レーザー場中の分子解離過程における電子衝突過程の寄与を評価することを目的に、位相制御2色レーザーパルスを用いた研究を行う。
|
研究実績の概要 |
前年度にイオン側の検出器に経年劣化による検出効率の著しい低下が見られたため、これを改善するため、マイクロチャンネルプレートを新たなものと交換し、良好に動作することを確認した。OCS分子を対象にサブ10フェムト秒パルスを用いた光電子-光イオン三次元運動量画像計測を行い、分子座標系における光電子角度分布を取得した。レーザーのポインティング制御機構を導入し、一週間以上の長期間に渡ってデータ積算が可能なシステムを構築した。得られたデータから、フラグメントイオンと光電子の運動エネルギーによって弁別した光電子が異なる角度分布を示すことが明らかとなった。現在、詳細な解析を進めている。 これまでは繰り返し周波数1 kHzのレーザー光源を用いてきたが、新たに繰り返し周波数10 kHzのレーザー光源を用いた計測に着手した。新たなレーザー光源を用いたサブ10フェムト秒レーザーパルス発生装置を立ち上げ、計測システムが動作することを確認した。新たなレーザー光源を用いた位相制御2色レーザーパルス発生にも着手し、十分な強度の二倍波が発生可能であることを確認した。 位相制御2色レーザーパルス中で放出された電子のトラジェクトリー計算に、第一原理計算によって得られたポテンシャルを採用し、計算を実施した。その結果、従来のクーロンポテンシャルを用いた計算よりも良好な結果が得られ、強レーザー場中の電子放出過程においてポテンシャル形状が重要な役割を果たしていることを明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
電子トラジェクトリー計算に第一原理計算で得られたポテンシャルを取り込む手法を新たに構築し、良好な結果が得られている。他の分子に対しても同様のアプローチが有効であると期待される。新たに繰り返し周波数10 kHzのレーザー光源を用いた計測が可能になり、計測時間の大幅な短縮が見込まれ、順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
新たに立ち上げた繰り返し10 kHzのレーザー光源を用いて位相制御2色レーザーパルスを発生させ、レーザー波形の非対称性の評価を進める。十分に非対称性が高いレーザー波形が得られることを確認したのち、一酸化窒素分子を対象とした光電子-光イオン運動量画像計測を行う。
|