研究課題/領域番号 |
22K14664
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分33010:構造有機化学および物理有機化学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
安井 孝介 京都大学, 高等研究院, 特定助教 (10877640)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | π共役 / 非ベンゼン系炭化水素 / 芳香族 / 反芳香族性 / フルベン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では 3 環以上が縮合した非交互炭化水素である縮合多環式非ベンゼン系炭化水素 (polycyclic nonbenzenoid hydrocarbons, PNH) の合成,物性評価に取り組む.すなわち, PNH の合成法および官能基導入手法の確立, 多環式構造に基づく本質解明,および官能基化による構造・物性の変調といった本質的理解に努める.
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研究実績の概要 |
本研究では反芳香族性を示す分子の代表格であるペンタレンの新しい合成法を確立し,既存の合成手法では入手困難な分子群を合成する.これにより,反芳香族性や狭い HOMOーLUMO ギャップ,高い電子受容性といったペンタレンの特徴を引き出す分子設計を可能にし,特異な新奇π電子系を創出することが目的である. 芳香環縮環ペンタレンは遷移金属触媒を用いるアルキンの二量化や渡環環化による合成がなされてきた.これに対して,本研究では,ビシクロ [3.3.0] オクタン骨格をもつ分子に対する構造修飾という全く異なるアプローチにより,多彩な芳香環縮環ペンタレンの普遍的な合成法の確立を目指した.令和 4 年度はその一例として,ベンゾチオフェンの縮環したペンタレンの合成を目指した.具体的な研究実績は以下の 2 点に集約される. (1)ビシクロ [3.3.0] オクタン骨格をもつ分子のうち,Weiss ジケトンを出発原料とした合成経路の開発を目指した.残念ながら,標的のペンタレンに至ることは叶わなかった.しかしながら,古くより様々な天然物の全合成の原料として用いられてきた Weiss ジケトンの新しい誘導体を創出し,合成化学的な有用性を実証した. (2)別の合成経路としてWeiss ジケトンの構造異性体を出発原料とした検討も実施した.この構造異性体は Weiss ジケトンよりも入手性が乏しいものの,カルボニル基を起点とした構造修飾を簡便に実施でき,ベンゾチオフェン縮環ペンタレンの骨格を構築することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Weiss ジケトンを用いた検討で紆余曲折があったものの,前項 (2) で述べた Weiss ジケトンの構造異性体を出発原料とする合成経路がベンゾチオフェン縮環ペンタレンの簡便合成に優れたものであることが示唆された.現在は骨格構築までは完了しており,最終工程の酸化を残すのみという現状である.また,チオフェン以外のヘテロ環構造にも本合成経路が威力を発揮することを予備的に見出している.このような現状を踏まえ,様々な縮環構造をもつペンタレンにアクセス可能な,普遍性の高い合成経路を確立できる見込みがあると判断し,本研究はおおむね順調に進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
今後はベンゾチオフェン縮環ペンタレンのみならず,様々な縮環様式のペンタレンを網羅的に合成する.とりわけ,他の合成経路では原理的に合成できないようなヘテロ環縮環ペンタレンの合成に取り組み,特異な光・電子物性を探究する.
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