研究課題/領域番号 |
22K14676
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分33020:有機合成化学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
大村 修平 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (10911662)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | ラジカルカチオン / [2+2]環化付加反応 / [4+2]環化付加反応 / 不斉触媒反応 / キラル鉄(III)光レドックス触媒 / キラル鉄(III)触媒 / 不斉合成 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、不安定な化学種であるラジカルカチオンの立体制御法の開拓である。ラジカルカチオンは、中性分子の一電子酸化により生成するカチオン性の化学種である。通常のカチオンとは異なる挙動を示す有用性から、新奇反応への応用が注目されている。一方、不安定な化学種であるため、立体的かつ精密に制御するのが極めて難しい。本研究では、普遍元素である鉄の一電子酸化能に着目し、高度に設計された鉄(III)塩を一電子酸化剤に用いて、ラジカルカチオンの立体制御法を開拓する。
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研究実績の概要 |
本研究はキラル鉄(III)触媒を用いる不斉ラジカルカチオン[4+2]及び[2+2]環化付加反応の開発である。最終年度における3つの主な研究実績を以下に示す。なお、以下の実績に加えて、研究期間全体を通して得た成果を学術誌に掲載した(J. Am. Chem. Soc. 2023, 145, 15054-15060. DOI: 10.1021/jacs.3c04010)。
【1】基質適用範囲の拡大:前年度において最適化した反応条件を用いて基質適用範囲を検討した。その結果、本触媒システムは数々の官能基(ハロゲノ基、アルコキシ基、アシロキシ基、アセトキシカルボニル基、ホルミル基、ニトロ基、ナフチル基、フリル基、チオフェニル基)に対して許容性を示し、9種類の[4+2]環化付加体および22種類の[2+2]環化付加体を高収率かつ高不斉収率で与えた。 【2】光の照射効果の解明:前年度に発見した青色光の照射効果について、その詳細な機構を解明した。具体的には、UV-Vis測定によりキラル鉄(III)触媒の吸収波長が青色光の波長と重なることを明らかにし、Stern-Volmer解析により基質が消光剤として働くことを明らかにした。以上の結果を基に、キラル鉄(III)触媒が光レドックス触媒として働く機構を提唱した。 【3】キラル鉄(III)光レドックス触媒の構造解明:FeCl3とキラル銀ホスホロアミドからin situで調製可能なキラル鉄(III)触媒の生成の是非およびその構造を解明した。具体的には、ICP-AES解析によりFeCl3とキラル銀ホスホロアミドから所望のキラル鉄(III)触媒が生成することを定量的に評価した。続いて、計算科学を用いてキラル鉄(III)触媒のギブスエネルギーと最安定構造を導き出し、キラル鉄(III)触媒の生成を裏付けることに成功した。
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