• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

フッ化物イオン共役電子移動を利用した可視光駆動型炭素-フッ素結合の還元反応の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K14685
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分33020:有機合成化学関連
研究機関学習院大学

研究代表者

内倉 達裕  学習院大学, 理学部, 助教 (50867869)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
キーワードフッ化物イオン共役電子移動 / EDA錯体 / トリフルオロメチル基 / 光電子移動 / 有機フッ素化合物 / 炭素-フッ素結合活性化 / ラジカル付加反応 / ジフルオロメチル基
研究開始時の研究の概要

有機フッ素化合物は様々な生理活性物質に利用されており、特にジフルオロメチル基は、ヒドロキシ基やスルファニル基の生物学的等価体として振る舞うことから、医薬品・農薬の新たなモチーフとして注目されている。これらを合成する手法として、トリフルオロメチル基の炭素-フッ素結合の変換反応が挙げられるが、炭素-フッ素結合を切断するためには非常に高いエネルギーを必要とする。本研究では、フッ化物イオンと親和性の高いカチオン種の添加と、光エネルギーを利用することにより、穏和な条件下における炭素-フッ素結合の還元反応を目指す。

研究実績の概要

本研究では、リチウムイオンとフッ素の親和性を利用し、可視光を照射することによって電子移動と脱フッ素化を協奏的に起こすことによる炭素-フッ素結合の官能基化反応を目的としている。なお、電子移動はElectron-Donor-Acceptor(EDA)錯体を経由した光一電子移動を利用する。リチウム塩および塩基の存在下、トリフルオロメチルアレーンと電子豊富アルケンに対し可視光を照射することによって、1つの炭素-フッ素結合が選択的に還元され、ジフルオロメチレン化合物が得られることを見出した。本反応ではヨウ化リチウムとトリエチルアミンを用いるのみという、これまでと比較して非常に温和な条件下でトリフルオロメチル基の還元反応を進行させることが可能となり、計36の基質に対し適用可能であった。分光学的手法から、本反応はトリフルオロメチルアレーンと電子豊富アルケンが、ヨウ化リチウムを介してEDA錯体を形成し、進行していることが明らかとなった。また種々の反応機構解析から、ジフルオロメチルラジカルを経由して進行することが確認された。
また、理論化学的手法を用いることによって、一電子移動と脱フッ素化過程は協奏的に進行していることが示唆された。
本研究結果は、第46フッ素化学討論会や、第12回フッ素化学若手の会などの学会で報告し、学術論文にも掲載された(Chem. Eur. J. 2024, e202400658)。
また、本反応の展開として、トリフルオロメチルアルケンを用いた検討を現在行っている。上記と同様にリチウム塩の条件下光照射を行うことによって、トリフルオロメチルアルケンの炭素-フッ素結合の還元が進行し、医薬品にも利用されるgem-ジフルオロビニル基を有する生成物が得られることも確認している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

上記に示したように、EDA錯体を経由した光一電子移動と脱フッ素化を協奏的に起こすことによるトリフルオロメチル基の炭素-フッ素結合の選択的還元反応を見出し、36の基質でジフルオロメチレン化合物を合成することに成功した。また、反応機構解析を行うことで、本反応がジフルオロメチルラジカルを経由したラジカル付加反応であることを示した。本研究結果は、複数の学会で報告し、学術論文にも掲載された。このように、当初の予定通りに研究が進展している。
また、上記と同様にトリフルオロメチルアルケンの炭素-フッ素結合の還元が進行することも確認しており、次年度以降検討を進める予定である。

今後の研究の推進方策

EDA錯体を経由した光一電子移動と脱フッ素化を協奏的に起こすことによるトリフルオロメチル基の炭素-フッ素結合の選択的還元反応に成功し、学術論文にも掲載された。
今後は本反応システムを利用し、水素供与体を用いたジフルオロメチル化合物の合成についても、同様に反応収率の向上および基質一般性の拡大を進めていく予定である。
さらに、本反応形式をモノフッ化アリールや、トリフルオロメチルアルケン等の基質へ適用するための検討を進めていく。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Photoreduction of Trifluoromethyl Group: Lithium Ion Assisted Fluoride‐Coupled Electron Transfer from EDA Complex2024

    • 著者名/発表者名
      Uchikura Tatsuhiro、Akutsu Fua、Tani Haruna、Akiyama Takahiko
    • 雑誌名

      Chemistry - A European Journal

      巻: 30 号: 33

    • DOI

      10.1002/chem.202400658

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] EDA錯体を利用した新規可視光駆動型ラジカル反応の開発2023

    • 著者名/発表者名
      内倉 達裕
    • 学会等名
      有機合成化学協会関東支部 若手研究者のためのセミナー
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] リチウムイオンによるフッ化物イオン共役電子移動を用いたトリフルオロメチル基の可視光駆動型一電子還元によるジフルオロメチレン化合物の合成2023

    • 著者名/発表者名
      圷 楓愛、谷 晴奈、内倉 達裕、秋山 隆彦
    • 学会等名
      第46フッ素化学討論会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Lithium Assisted Fluoride-Coupled Electron Transfer Driven Photoreaction of Trifluoromethyl Group via EDA Complex2023

    • 著者名/発表者名
      Tatsuhiro Uchikura, Fua Akutsu, Haruna Tani, Takahiko Akiyama
    • 学会等名
      The 15th International Kyoto Conference on New Aspects of Organic Chemistry
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] フッ化物イオン共役電子移動を利用したトリフルオロメチル化合物の可視光駆動型一電子還元2023

    • 著者名/発表者名
      内倉 達裕
    • 学会等名
      第12回フッ素化学若手の会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] リチウムイオンを利用した、トリフルオロメチル基の可視光駆動型一電子還元によるジフルオロアルカンの合成2023

    • 著者名/発表者名
      圷楓愛、谷晴奈、内倉達裕、秋山隆彦
    • 学会等名
      日本化学会 第103春季年会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] リチウムイオンを利用したトリフルオロメチル基の可視光駆動型一電子還元によるジフルオロアルカンの合成2023

    • 著者名/発表者名
      内倉達裕、圷楓愛、谷晴奈、秋山隆彦
    • 学会等名
      大学連携化学シンポジウム~学習院大・立教大シンポジウム~
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi