研究課題/領域番号 |
22K14688
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分33020:有機合成化学関連
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
川越 文裕 帝京大学, 薬学部, 助教 (00756520)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | ビタミンD / ライブラリー / 合成 / 医薬品 / フッ素化 |
研究開始時の研究の概要 |
フッ素化ビタミンの鍵となる合成中間体を有機化学的に合成する。その合成中間体を用いて様々なフッ素化ビタミンD誘導体合成を行い50種類以上の誘導体合成を目指す。それらの誘導体がどのような特性をもつか評価する中で医薬品への展開へつなげる。具体的には乾癬、骨疾患、がん、アルツハイマーなどビタミンDが関与しているであろう疾患への適用を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究課題ではビタミンD3の活性や代謝不活化に深いかかわりをもつ側鎖部位に着目し、側鎖22-27位すべての部位への位置および立体選択的フッ素導入をほどこした側鎖フッ素化ビタミンD3誘導体群を基盤とした医薬品導出を目標とし、本目標を達成するために側鎖フッ素化ビタミンD誘導体群の「効率的合成法開発と化合物ライブラリー構築」と「網羅的生物活性評価」という二つの側面から研究活動を展開させることとする。 当該年度では「側鎖フッ素化ビタミンD誘導体群の効率的合成法開発」のため、ビタミンD側鎖への網羅的フッ素導入法開発を行い鍵中間体である側鎖フッ素化CD環部を合成した。合成したCD環部に対しA環部導入により網羅的な側鎖フッ素化ビタミンD3誘導体を得た。具体的にはビタミンD3の一次代謝物であり近年様々な非ホルモン様作用が報告されている25-ヒドロキシビタミンD3の側鎖フッ素化体6種と所属研究室で開発され強い抗がん作用をもつ2位置換型誘導体であるMART-10およびMART-11の側鎖フッ素化体12種類、計18誘導体の合成を達成している。 合成した誘導体群と過去に合成した誘導体群の計39誘導体を用いた「網羅的生物活性評価」により、これまでのところ既存のビタミンD3誘導体と比較して高い抗がん作用や乾癬治療効果、そして脂質異常症治療効果やIL19抑制効果をもつ誘導体群の発見につなげており、それらの成果から特許2報の出願と原著論文2報の報告に至っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ビタミンD側鎖への網羅的なフッ素化が完了し、その手法に基づいて合成した鍵中間体である側鎖フッ素化CD環部13種類(当初計画では12種類)の合成が完了した。それらCD環部を用いて25-ヒドロキシビタミンD3誘導体群と19ノル-2位置換ビタミンD3誘導体群(MART-10およびMART-11)計39種類の誘導体を合成を完了した。それらの誘導体群を用いて生物活性評価を行うことにより既存のビタミンD3やその誘導体よりも高い抗がん作用や乾癬治療効果をもつもの、そしてIL19阻害効果や脂質代謝に関与するタンパク質を選択的に阻害する効果をもつ誘導体を見出し論文2報特許2報という結果を得ることが出来て当初の計画以上に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
鍵中間体である側鎖フッ素化CD環部の新規合成を行うことでより多様な誘導体合成の足掛かりとする。具体的には、研究計画に記載されているCD環部の26,27位から一炭素ずつ増炭された側鎖フッ素化CD環部の合成を行う。同時に、それらCD環部を様々なA環部とのカップリングさせることで新規側鎖フッ素化ビタミンD誘導体群の創製に努める。また網羅的な生物活性評価を目的に共同研究者との打ち合わせや、外部企業に対する評価委託も念頭に幅広い側面からの活性評価を行う。
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