研究課題/領域番号 |
22K14690
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分34010:無機・錯体化学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
三原 のぞみ 筑波大学, 数理物質系, 助教 (00867989)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 有機ケージ分子 / 金属酸化物ナノ粒子 / 自己組織化 / 有機分子ケージ / 金属酸化物 / ナノ粒子 |
研究開始時の研究の概要 |
金属酸化物ナノ粒子の形状・サイズは物性や機能に大きく影響する。種結晶の成長を利用することで多様な形状のナノ粒子結晶を形成可能であるが、粒径1-3 nmの金属酸化物の形状制御はほとんど未開拓である。本研究では、内部空間の形状・サイズが明確に規定された有機分子ケージを利用して、1-3 nmの粒径領域において金属酸化物ナノ粒子の形状を制御して合成する方法を開拓する。特に、固有の晶系の対称性と異なる形状のナノ粒子結晶を構築し、特異な露出結晶面、原子配列、粒径効果に基づく新規な物性・機能を探索する。
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研究実績の概要 |
バルク金属や金属酸化物などの無機化合物をナノメートルサイズまで微細化することで得られる無機ナノ粒子は、サイズ・形状の違いにより大きく異なる触媒活性や光学特性などの性質を示すことが知られている。粒径 10 nm程度以上の無機ナノ粒子の形状制御は広く研究されており、結晶面選択的な吸着剤を用いて種結晶の結晶面の成長速度を制御することで、様々な幾何学構造の無機ナノ粒子の合成が可能である。一方、無機ナノ粒子の粒径を1-3 nmまで減少させると表面原子の割合が飛躍的に増加するため、この粒径範囲で形状を精密制御した無機ナノ粒子は特異な性質を示すと期待できる。本研究では、サイズおよび幾何学構造を系統的にデザイン可能な有機ケージ分子を用いて、1-3 nmの超微小無機ナノ粒子のサイズと形状を制御して合成する方法を開拓する。令和4年度は特に、ナノ粒子合成のテンプレートとなる種々の有機ケージ分子の合成、およびその内部空間における錯形成・ナノ粒子形成反応の調査を行なった。さらに、有機ケージ分子の内部空間に形成した酸化亜鉛ナノ粒子の特異な光学特性を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
内部空間に金属イオンの配位部位を有する四面体型および立方体型有機ケージ分子の合成に成功した。有機ケージ分子と金属イオンの錯形成反応により、頂点に金属イオンを有する様々な錯体を得た。また、四面体型ケージ分子をテンプレートとして酸化亜鉛ナノ粒子の形成反応を検討したところ、AFMやTEM測定により内部空間の配位サイトを起点としてナノ粒子が生成したことが示唆された。さらに、立方八面体型の有機ケージ分子をテンプレートとして用いたところ、内部空間で生成したと考えられる粒径d = 2.1±0.1 nmの酸化亜鉛ナノ粒子が生成したことがわかった。このナノ粒子のバンドギャップエネルギーをTauc plotにより見積もったところ、既報の酸化亜鉛ナノ粒子のバンドギャップエネルギーと比べて非常に大きい値であったことから、これまで酸化亜鉛ナノ粒子において理論的に予測されていた粒径2 nm程度での光学特性の大きな変化を実験的に明らかにすることができた。以上のように、ナノ粒子合成のテンプレートとなる新規有機ケージ分子の合成に成功し、さらに特異な光学特性を明らかにしたことから、本研究課題は順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続きナノ粒子合成のテンプレートとなる様々なサイズ・形状を有する有機ケージ分子の合成を進めるとともに内部空間におけるナノ粒子合成の検討を行う。また、得られたナノ粒子の光学特性や触媒活性を調査する。
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