研究課題/領域番号 |
22K14695
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分34010:無機・錯体化学関連
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研究機関 | 城西大学 |
研究代表者 |
仲谷 学 城西大学, 理学部, 助教 (10822554)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 金属錯体 / DNA / ナノ材料 / 分子集積 / 磁気特性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、ナノ構造材料の作成にも利用されているDNAを鋳型として利用し、対となる核酸塩基を有する金属錯体との選択的な分子認識を駆動力とした錯体分子集積化法の確立を目指す。また、磁性金属錯体-DNA複合体に脂質を含ませることで機能性複合フィルムの作成を行い、錯体分子の数・方向・分子間距離の磁気特性への影響を明らかにする。
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研究実績の概要 |
核酸塩基(アデニンおよびチミン)を導入したサロフェン配位子を用いて亜鉛(II)および白金(II)錯体の合成を行った。溶液状態での物性測定に先立ち、結晶状態での分子集積状態を明らかにするため単結晶の作成を試みた。アデニンを導入した亜鉛錯体(以下、A-Zn)のみ単結晶が得られ、X線構造回折測定により分子集積を明らかにした。A-Znの末端アデニンの7位のN元素が隣接するA-ZnのZnイオンの軸に配位子ており、5配位Zn中心を持つ一次元配位高分子を形成していることが明らかとなった。また、DMSOーH2O混合溶媒中での紫外可視分光(UV-vis)および発光スペクトルを測定したところ、シッフ塩基型Zn錯体に見られるILCT由来の発光挙動が観測された。DNAとの複合化を検討するために、pH変化時での安定性を見積もるため、pH可変でのUV-visおよび発光スペクトル測定を行った。すると、酸性条件では錯体形成に由来するピークが消失することが分かった。今後は中性もしくは塩基性条件でDNAとの複合化を検討していく。 また上記と並行して白金(II)錯体の測定も行なっている。白金錯体は白金中心の配列が光物性に大きく影響を与えるため、鋳型DNAを用いた配列分子数の精密制御を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
核酸塩基を導入した金属錯体の合成に成功しており、単結晶構造解析によりその分子集積も明らかにした。また、光物性測定として吸収および発光スペクトル測定、そのpH変化による影響まで明らかにしていることから判断した。
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今後の研究の推進方策 |
まず、鋳型DNA鎖を用いた錯体分子の配列制御に関して、DNA鎖長による配列分子数の制御を検討する予定である。具体的には、5mer、10mer、20merなどと長さの違う鋳型DNA鎖と対となる錯体分子を任意の割合で混合し、吸収スペクトルおよびCDスペクトルにより、配列分子数の定量を行う。また、DNAに誘起される機能性(CPLなど)に関しても随時測定を行なっていく。薄膜での利用に関して、金属錯体ーDNA複合溶液を基盤上に塗布し、薄膜での光物性測定も検討する。
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