配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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研究実績の概要 |
本年度は核酸塩基(T = チミン、A = アデニン)を導入したサロフェン型白金(II)および亜鉛(II)錯体(T-Pt, T-Zn, A-Zn)を合成し、これら錯体の分光測定を行った。また、錯体分子に付加した核酸部位と対となる任意の長さの核酸塩基オリゴマー(A-10mer, T-10mer, A-20mer, T-20mer)との複合化を検討し、分光学的性質の評価によって複合化の議論を行った。 核酸塩基オリゴマー(10mer)の濃度を一定とし、錯体分子濃度を変調させた吸収スペクトル測定では、錯体分子の割合が増えるにつれ260nmの吸光度が減少した。核酸塩基オリゴマーは、260nmに核酸塩基由来のピークを示すが、錯体分子と相互作用し、規則的な配列化をすることで260nmのピークが減少したと考えれらる。これは通常のDNA二重鎖にも見られる現象のため、相補的な核酸塩基オリゴマーの間に、金属錯体分子が配列していると示唆される。また、白金(II)や亜鉛(II)錯体に由来する発光スペクトルも、10当量の濃度上昇まで、系統的なスペクトル強度の増加を示した。本結果も、定量的な相互作用形成を示唆する。しかし、相互作用の熱安定性の指標となる融解温度(Tm値)が、2当量以上の錯体分子添加後は系統的に減少することから、一般的な螺旋構造を有するDNA二重鎖のような集積状態ではなく、ラダー状の配列状態をとっていると考察した。 同様の結果が、20merのオリゴマーでも観測されたことから、錯体分子をDNA二重鎖間に10分子もしくは20分子を規則的に配列させることに成功した。 本研究期間内では、複合状態での薄膜化までは至らなかったので、今後は薄膜化および機能開拓へと展開していく。
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