研究課題/領域番号 |
22K14697
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分34010:無機・錯体化学関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
原口 知之 東京理科大学, 理学部第二部化学科, 講師 (10801772)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 多孔性配位高分子 / 配向膜 |
研究開始時の研究の概要 |
金属イオンを有機配位子で架橋した多孔性配位高分子(MOF)による配向膜はガス分離剤やイオン伝導体などへの応用利用が期待されている。MOFの物性制御には構成要素の置換や光や電場などの外場の利用などがこれまで用いられてきた。本研究提案ではそれらとは全く異なる手法として、異種のMOFを積層させたヘテロ接合膜を構築し、ナノ界面歪みを導入することで構造・物性制御を行う。
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研究実績の概要 |
金属イオンを有機配位子で架橋した多孔性配位高分子(MOF)による配向膜はガス分離剤やイオン伝導体などへの応用利用が期待されている。MOFの物性制御には構成要素の置換や光や電場などの外場の利用などがこれまで用いられてきた。本研究提案ではそれらとは全く異なる手法として、異種のMOFを積層させたヘテロ接合膜を構築し、ナノ界面歪みを導入することで構造・物性制御を行う。具体的にはスピン転移や構造変化を伴うガス吸着を示すMOFを対象とし、格子の小さなMOFの上に格子の大きなMOFを構築することで圧縮歪みを導入し、配位子場やフレームワーク間の相互作用を強化することで、スピン転移やガス吸着特性を制御する 2022年度においてはまずヘテロ接合膜の構築のため、目的のMOF配向膜の構築と評価を行った。MOFナノシート、Fe[Pt(CN)4]とCu(BDC) (BDC = Benzene-1,4-dicarboxylic acid)を合成し、そのコロイド溶液を基板上に塗布・乾燥し、二次元層状MOFを構築した。Fe[Pt(CN)4]についてはさらにピラー配位子としてピラジン(pz)を導入することでピラードレイヤー型MOF配向膜、Fe(pz)[Pt(CN)4]を作製した。得られた膜の構造と配向性について検討するためにX線回折(XRD)測定を行ったところ、in-plane方向(基板水平方向)ではレイヤー内の周期構造由来の(hk0)の回折ピークのみが、out-of-plane方向(基板垂直方向)ではレイヤー間の周期構造由来の(00l)の回折ピークのみがそれぞれで独立に観測され、膜が高い結晶性と配向性を有することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MOFナノシート、Fe[Pt(CN)4]およびCu(BDC)を用いたキャスト法により二次元層状MOFを構築し、Fe[Pt(CN)4]についてはピラー配位子としてピラジンを導入することでピラードレイヤー型MOF配向膜を簡便に作製し、薄膜X線回折測定から膜が高い結晶性・配向性を有していることを確認できている。
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今後の研究の推進方策 |
スピン転移を示すMOF、Fe(pyrazine){M(CN)4} [M = Ni, Pt]についてヘテロ接合膜を作製し、ナノ界面歪みを導入することで構造・物性制御を行う。またキャスト法では膜厚を容易にふやせる利点を生かし、膜厚増大にともなう歪みの緩和がどのように相関しているかを詳細に検討する。膜内部の歪みは膜厚が増大するとともに緩和されていき、転移温度がバルクのものに近づいていく挙動が観測されると期待される。
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