研究課題/領域番号 |
22K14718
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分34030:グリーンサステイナブルケミストリーおよび環境化学関連
|
研究機関 | 地方独立行政法人北海道立総合研究機構 |
研究代表者 |
近藤 永樹 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 産業技術環境研究本部 工業試験場, 主査 (30884770)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | グルタミン酸 / 2-ピロリドン / 高温高圧水 / 生分解性プラスチック / バイオマスプラスチック |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、豊富な天然・未利用資源から得られるグルタミン酸を、高温高圧水を利用した反応場で、生分解性プラスチック等の原料である2-ピロリドンへ変換する研究である。本事業により、環境調和型のプロセスとして、石油由来原料を用いるのではなく再生可能なバイオマスから得られるグルタミン酸を用いて、生分解性プラスチック原料となる2-ピロリドンを合成する手法を開発する。
|
研究実績の概要 |
本研究課題は、水素加圧および触媒を必要としない水のみを反応場として活用し、石油由来ではない天然・未利用資源を使った原料から生分解性プラスチック原料へ変換するプロセスを設計する研究である。 グルタミン酸(Glu)は天然物から回収が可能であり、還元反応によりポリアミド4の原料となる2-ピロリドン(2P)へ変換が可能であるため、高温高圧水を利用したGluから2Pへの変換反応について検討を行った。 1)ピログルタミン酸(PGA)を用いた反応:Gluを加熱することで得られるPGAを原料として高温高圧水条件で回分式反応器を用い、2Pの合成を検討した結果、高温下で2Pを高収率で得ることができた。また、Gluから2Pへの推定反応経路は、従来の水素雰囲気下で貴金属触媒使用した場合、水素化脱水反応によりピログルタミノールを経て2Pが生成することが示されている。一方で本研究の結果から、触媒を用いない高温高圧水条件では、水素化反応の際に生成する中間生成物(ピログルタミノール)を得ることなく、2Pが合成されることがわかった。そのため、脱炭酸反応により一段階で2Pが生成する経路の存在が示唆された。 2)マイクロ化学プロセスを利用したプロセス化条件の検討:高温高圧水マイクロ化学反応装置を設計し反応条件の最適化を進めた結果、以下の事実が明らかになった。 ①高温になるほど収率が向上する傾向があるが、450℃まで達すると収率は減少する。従って収率には極値が存在する。②圧力上昇に伴う相転移も収率に影響しており、液相あるいは超臨界水下で収率が向上する傾向がある。特に、400℃、30MPaの条件で最高収率が得られる。 これを踏まえ、温度上昇と相転移の効果の双方が、収率向上にどれだけ寄与しているかを整理するため、水のイオン積を用い、それらの相関を確認した。その結果、水のイオン積が比較的高い領域で反応が進行することが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画書で示した本研究の目的は、水素加圧による還元雰囲気下での反応に代わり、安全・安価かつ枯渇しない資源である水を反応場に用いた超臨界・亜臨界水反応を適用した反応場で、石油由来ではない天然・未利用資源を使った原料から生分解性プラスチック原料へ変換するプロセスを設計することであった。 水素ガス加圧による水素添加をせずにグルタミン酸から2-ピロリドンを合成することが要点と考えていたが、それに対し、高温高圧水を用いた反応条件で変換反応を進行させることに成功した。また、高温高圧水マイクロ化学プロセスを利用した検討において、変換反応を進行させることに成功したため、いずれも必要な検討は進められている。以上より、今後の研究を推進方策に従い検討可能な進捗状況であるため、「おおむね順調に進展している」とした。
|
今後の研究の推進方策 |
1)今後の研究の進め方 2-ピロリドンへの変換反応結果をもとに理論計算により、化学反応のメカニズム解析や反応性評価を行う。 2)目指す成果とその活用策 ・生分解性プラスチックであるポリアミド4の合成原料(2-ピロリドン)の環境調和型かつ安全で経済的な合成プロセスを開発する。 ・生分解性プラスチック(ポリアミド4)原料が、国内に豊富に存在する未利用のコンブやシイタケなどの天然物から合成可能となる。
|