研究課題/領域番号 |
22K14723
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分35010:高分子化学関連
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研究機関 | 徳島大学 (2023) 信州大学 (2022) |
研究代表者 |
川谷 諒 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 助教 (50911947)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | ラジカル重合 / ラジカル開環重合 / 分解性高分子 |
研究開始時の研究の概要 |
化石資源の枯渇への対応として、資源循環型の材料の開発が望まれている。自壊性高分子は、迅速に低分子まで分解する高分子であり、マテリアルリサイクルできる材料として注目されているが、その分子構造に限りがあり、合成も困難という課題がある。本研究はその課題を解決できる、自壊性高分子の創出を目的として、工業的にも一般的に利用されているラジカル開環重合を用いて、自壊性高分子を創出する。ラジカル重合した高分子をアニオン的に分解することで、「重合しやすい=分解しにくい」という従来までの概念を超えて、「重合しやすい かつ 分解しやすい」という高分子を生み出すことを目指した研究である。
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研究実績の概要 |
前年度はラジカル開環重合を意図したモノマーを合成したが、開環せずにコモノマーとして共重合し、耐熱性を向上させるという結果が得られた。 今年度はこの結果を踏まえて、共重合性をより詳しく調べること、および当初の計画通りに開環重合を目指すの2点を実施した。 共重合性をより詳しく調べるという点においては、アクリレートやスチレンとの共重合では、合成した環状モノマーが、これらのモノマーに比べてラジカルの受容性が高いことが示唆された。 開環重合を目指す点に関しては、以前のモノマーに比べて、成長末端となるべき置換基にメチル基を一つ追加し、成長ラジカルを3級ラジカルとなるモノマーを設計した。 そして、前年度までの検討では、環状イミドに焦点をあてて、モノマー合成を行っていた。今年度はその環状イミドモノマーに加えて、環状無水物モノマーの設計も行った。重合反応という視点での設計指針は同じだが、環状無水物モノマーは開環重合によって得られたポリマーに分解性が付与されているという点が異なる。 設計したモノマー2種の合成検討を行ったところ、環状無水物モノマーにおいて、粗生成物として、0.1g程度のモノマーが得られた。だが、未だ得られた量が少なく、重合に耐える純度への精製も行えていない。すぐにでもスケールアップ合成および精製を完了させ、重合検討を実施する予定である。さらに、もう1種類の環状イミドモノマーの合成検討では、こちらも後1段階の合成でモノマーが得られる段階にあるため、モノマーを得次第、重合検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は10月に信州大学から徳島大学へと異動した。そのため、異動前後は研究の進度が遅くなり、今年度の学会での発表および雑誌への掲載等の成果はなかった。しかし、異動後すぐに学生が2名配属され、2名とも本研究に従事しているため、異動に伴う遅れはほぼ取り戻したと感じている。 本研究の律速であるモノマー合成の検討がほぼ完了しているため、研究計画全体を鑑みた場合でも、順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は得られたモノマーの重合検討を行い、単独重合性、および共重合性を明らかとする。具体的には、開環重合をするか否かおよび、その要素となる置換基効果を明らかとする。さらに、開環重合が進行し、ポリマーが得られた場合は、そのポリマーの分解実験も行い、分解挙動を明らかにする予定である。
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