研究課題/領域番号 |
22K14726
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分35010:高分子化学関連
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
KIM HYUNGDO 京都大学, 工学研究科, 助教 (80837899)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
|
キーワード | 全高分子太陽電池 / 電荷回収効率 / 二分子再結合 / 電荷移動度 / 光捕集効率 / 曲線因子 / 過度光起電力/光電流測定 / 電荷回収測定 / 相分離構造 / 界面電荷分離 |
研究開始時の研究の概要 |
全高分子ブレンド太陽電池のエネルギー変換効率をさらに向上させるためには、活性層の厚膜状態でも高いFFを維持することが非常に重要である。しかし、多くの全高分子ブレンド太陽電池では活性層の厚膜化にともない、二分子再結合の損失が増加しFFの減少が顕著で あるが、その起源は現状明らかになっていない状況である。そこで本研究では、ドナー・アクセプター(D/A)界面でのエネルギー構造や混合相の状態を明確に評価した上、再結合ダイナミクスを界面電荷分離(CT)平衡モデルやエントロピー効果(クーロン引力)の観点から解析することで、従来の経験則に頼っていた設計指針に加えて動作機構に基づいた設計指針を提示する。
|
研究実績の概要 |
全高分子ブレンド太陽電池においてさらなるエネルギー変換効率の向上させるためには、光活性層を厚膜することで光捕集効率を増加させ、短絡電流密度(JSC)を向上させる必要がある。しかしながら、厚膜素子では生成した電荷キャリアの輸送距離が長くなるため二分子再結合による失活が増加する。そのため、典型的な高分子太陽電池では、活性層の厚膜化にともない短絡電流密度(JSC)と曲線因子(FF)はトレードオフの関係にあることが知られている。このような課題を打破するためには、解離した電荷が優れた電荷輸送特性によって厚膜素子でも再結合する前に電荷を効率よく電極に回収することが求められる。そこで本研究では、電子ドナー材料として側鎖の異なる結晶性共役高分子を用いた全高分子ブレンド太陽電池について曲線因子の膜厚依存性が異なる原因を電荷 回収ならびに電荷再結合ダイナミクスの観点から包括的に検討を行った。また、移動度が異なるフラーレンおよび非フラーレン系高分子太陽電池において厚膜化による電荷生成および再結合ダイナミクスを評価し、素子特性の支配要因を検討した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
相分離構造の評価は、spring8で行う必要があるのですが、予約の状況が混雑しており予定よりやや遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は、相分離構造とD/A界面におけるエネルギー構造に関する議論を行う。ブレンド膜における結晶性や配向は、素子作製中の熱処理によって変化するた め、アニール温度を変えてX線回折法により定量分析する。また、単膜とブレンド膜において、正孔のみを輸送するサンプルを作製し、In-situ 電流モード原子 間力顕微鏡を測定することで、混合相の厚さを定量評価する。また、D/A界面における混合相の状態は、用いるポリマーの相溶性によって大きく異なるため、示 差走査熱量測定法により結晶化温度と融点を測定することで、三相図(溶媒、ドナー相、そしてアクセプター相)を作成し、相溶性の観点から相分離構造を議論 する。さらに、D/A界面におけるエネルギー構造は、用いるポリマーの結晶性によって異なる。そのため、薄膜状態におけるサイクリックボルタンメトリー測定 により、D/A界面におけるエネルギー構造を各サンプルに対して明確にする。その結果をもとに全高分子ブレンド太陽電池における二分子再結合の支配要因を明 らかにする。
|