研究課題/領域番号 |
22K14729
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分35010:高分子化学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
佐藤 知哉 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (40783874)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ポリマーブラシ / 表面開始原子移動ラジカル重合法(SI-ATRP) / 共重合 / ぬれ性 / 親水性 / 疎水性 / 撥水性 / 精密重合 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,基材表面からの精密重合により合成されるポリマーブラシを利用し,各種機能を発揮する官能基の分布の制御とその機能との相関を明らかにすることで,パラドキシカル(例えば,撥水性(水滴をはじく,水との親和性が低い)でありながら吸湿性(水蒸気を吸収する,水との親和性を持つような,一見すると相反する性質を併せ持つ)表面を構成する化学的要素の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
本年度は、本研究課題の主目的であるポリマーブラシを利用したパラドキシカル表面の作製に向けた合成技術の開発とそれを利用したポリマーブラシ/コポリマーブラシの量産に取り組んだ。ゾル-ゲル法によりシリコン基板上に作製した重合開始層を起点とし、空気中でポリマーブラシの合成が可能な改良型原子移動ラジカル重合法(Paint-on法)を用いて各種親水性モノマー(メタクリル酸3-スルホプロピルカリウム、SPMK)、疎水性モノマー(アクリル酸 1H,1H,2H,2H-ヘプタデカフルオロデシル、HDFDA)の重合を検討した。また、合成した親水性/疎水性ポリマーブラシを起点としたPaint-on法によるコポリマーブラシの合成も試みた。今回用いる重合開始層は、疎水性であり水の接触角ヒステリシスも小さいことから、一定時間経過しポリマーブラシが合成され表面が親水化されないと水系の重合溶液は濡れ広がることができない。疎水性ポリマーブラシから親水性モノマーを重合する場合にも同様である。このため、予備検討として従来型の水系Paint-on法の重合溶液を用いてポリマーブラシ/コポリマーブラシの簡易合成を試みたところ、均質な表面を得ることはできなかった。この解決のために、従来型の水系Paint-on法重合溶液に低表面張力のエタノールを添加し重合を行ったところ、重合溶液は重合開始層や疎水性ポリマーブラシのいずれにもよく濡れ広がり、より均質なポリマーブラシ/コポリマーブラシが合成できた。本手法で合成したpolySPMKブラシの水接触角(WCA)は10°以下、polyHDFDAブラシのWCAは110°、poly(HDFDA-SPMK)コポリマーブラシのWCAは40~60°程度であった。以上の結果から、Paint-on法重合溶液の改良とそれを利用したポリマーブラシ/コポリマーブラシの合成に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題を遂行する上で重要なポリマー合成法プロトタイプを確立し、複数のモノマーに適用することで親水性官能基と疎水性官能基が共存する表面の作製に成功した。この合成法を最適化することで、各モデル表面の作り分けが可能となる。以上より、おおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
ポリマーブラシ合成法をさらに改良するため、各種添加剤や溶媒、温度などの反応条件による影響を確認する。各種親水性・疎水性モノマーを用いて合成したポリマーブラシの分析を進めパラドキシカル表面の作製に向けた知見を蓄積する。
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