研究課題/領域番号 |
22K14731
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分35020:高分子材料関連
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
石崎 裕也 立教大学, 理学部, 助教 (00939043)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | イオンダイオード / 高分子電解質 / イオン輸送 / 多孔質薄膜 / 酸化還元 / 超薄膜 / 整流特性 / 多孔質超薄膜 / 高分子超薄膜 / 応答性材料 / イオン整流特性 |
研究開始時の研究の概要 |
高分子電解質交互積層膜は、任意の積層数に応じて素子構造および機能団の配置を自在制御可能であると同時に、周囲の環境変化(温度・湿度・イオン強度・pH)に応答し、高分子鎖の局所運動や拡散、膨潤などを介して界面構造が動的に変化する。本研究課題では、このような非晶性高分子材料に特有の「動的な界面構造」に着目し、ナノ多孔質超薄膜材料との複合化およびその(1)界面構造、(2)界面物性および(3)素子特性との相関を明らかにすることで、従来の無機ナノチャネル薄膜材料では到達できなかった高選択性・高整流性・高透過性を有する超薄膜ベースの応答性イオンダイオードの構築およびその設計指針の提示を目指す。
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研究実績の概要 |
本年度は、高分子電解質とナノ多孔質超薄膜を組み合わせた薄膜イオンダイオードの作製を検討した。その結果、かご型シルセスキオキサンを有するブロック共重合体薄膜を前駆体とすることで、約16nmの垂直細孔を有するナノ多孔質超薄膜の作製に成功した。さらに交互吸着法(LbL法)を利用することで多孔質超薄膜上に高分子電解質を精密集積することに成功した。得られた複合膜のナノ構造について、X線反射率、原子間力顕微鏡、走査型電子顕微鏡および水晶振動子マイクロバランス測定を行った結果、LbLサイクルによってnmスケールで膜厚制御が可能であることが明らかとなった。また、下地として犠牲層(水溶性高分子)を挿入することで、複合膜を自立膜化することに成功し、薄膜イオンダイオードの作製に必要な多孔性支持基板(陽極酸化アルミニウム膜など)への再転写が可能であることがわかった。このように、本年度は超薄膜イオンダイオード構築に向けた材料の界面構造および基礎物性に関する知見を収集することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に記載の通り、本年度の研究実施計画に記載した内容を十分に達成することができた。また、次年度計画で必要なイオン整流特性評価用のポテンショ/ガルバノスタットアナライザを導入し、電気化学測定についても直ちに開始できる状態にある。
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今後の研究の推進方策 |
第二年度は、高分子電解質複合膜の界面物性(表面特性・イオン伝導性・応答性)について評価を行う。イオン選択性に寄与する表面特性については、表面ゼータ電位測定から評価を行いLbL膜最表面層と表面電位との関係を明らかにする。イオン伝導性については、研究代表者がこれまでに確立してきた電気化学インピーダンス測定を利用し、得られた拡散係数から議論を行う。さらに、外部環境(温度・湿度・イオン強度)への応答性について検討し、高分子鎖の局所的な運動や拡散、LbL膜の膨潤挙動などを包括的に評価することで、界面ナノ構造と界面物性との関係を明らかにする。
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