研究課題/領域番号 |
22K14744
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分35030:有機機能材料関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | ペロブスカイト太陽電池 / 単分子膜 / 電荷回収 / マルチポッド / 変換効率 / 水平配向 |
研究開始時の研究の概要 |
ペロブスカイト太陽電池の開発では,デバイスの光電変換効率のさらなる向上と耐久性の飛躍的な向上が依然課題となっている.本研究では,ペロブスカイト層からの正孔を回収する材料に着目し,マルチポッド型正孔回収単分子膜材料の開発に取り組む.これらの単分子膜材料では,上下のペロブスカイト層および電極基板のそれぞれに対して face-on に配向制御できるため,効率的な電荷回収が可能であり光電変換効率の向上が期待できる.この革新的な単分子膜材料の開発により,これまで有機半導体材料の欠点に由来していた導電性や耐久性などの課題を解決し,ペロブスカイト太陽電池の長期耐久性と高い光電変換効率(>23%)を実現する.
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研究実績の概要 |
ペロブスカイト太陽電池の実用化に向けては、デバイスの光電変換効率のさらなる向上と耐久性の飛躍的な向上が依然課題となっている。 ペロブスカイト層で光吸収によって生成した電荷を選択的に取り出す電荷回収材料の開発がさらなる特性向上のためのボトルネック課題となっている。従来の正孔回収材料では、各層間でのリークを防ぐために100-200 nm 程度のアモルファス性の厚膜層として用いられてきた。しかし、その材料自体の厚膜による光吸収が取り出せる電流密度を低下させてしまい、また、この厚膜のモルフォルジーの安定性がデバイス自体の低い熱安定性の原因となっている。さらに、従来の厚膜材料では正孔移動度が比較的低いため、電気伝導度を向上するためにはp型のドーパントなどの添加剤を必要とする。しかし、これらの添加剤の高い吸湿性と各イオンのペロブスカイト層への遊泳が、ペロブスカイト層へのダメージとなり、太陽電池デバイスの耐久性を低下させている。ペロブスカイト太陽電池デバイスの耐久性を向上させるためには、これらの視点から、優れた添加剤フリーp型有機半導体材料の開発が重要となる。 本研究では、長期耐久性と高い光電変換効率をもつ太陽電池を実現できる新たな有機半導体材料の開発を目指す。具体的には、トリアザトリキセンをはじめとする2次元拡張 π 共役骨格にホスホン酸などの極性基をアンカー基として複数導入したマルチポッド型正孔回収単分子膜材料を開発した。これらの単分子膜材料は、上下のペロブスカイト層および電極基板のそれぞれに対して水平方向に配向するため、効率的な正孔回収が可能になることが明らかになった。この単分子膜を添加剤フリー正孔回収層に用いたペロブスカイト太陽電池が23%の高い光電変換効率と長期耐久性を示すことがわかった。また、本研究ではπ 骨格の形やアンカー基の種類の効果についての検討も行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」に示した通り、当初の研究目的・研究実績計画に従って順調に遂行し、研究成果を公にすることができたから。
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今後の研究の推進方策 |
これまで開発してきた単分子膜材料は疎水的であるため、大面積化する際に均一にペロブスカイト膜を作製することが困難である。そこで、ペロブスカイト太陽電池の実用化に向けて、単分子膜上の濡れ性の問題を解決することが重要となっている。 今後の研究として、ペロブスカイト半導体材料がアルキルアンモニウムイオンやハライドイオンを持つことに着目し、ペロブスカイト半導体の界面に結合親和性のある極性官能基をπ共役骨格の二つ目のアンカー基として導入した新たな正孔回収単分子膜材料を合成する。マルチポッド型の骨格を活かして、二種類のアンカーを導入することで、π共役平面が基板に対して水平方向を示しながら、側鎖が基板とペロブスカイト層の両方に密に相互作用させることが可能である。これで単分子膜上の濡れ性の問題を解決することができると期待している。
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