研究課題/領域番号 |
22K14764
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分36020:エネルギー関連化学
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 (2023) お茶の水女子大学 (2022) |
研究代表者 |
青木 誠 国立研究開発法人物質・材料研究機構, エネルギー・環境材料研究センター, NIMS特別研究員 (40796059)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 海流MHD発電 / 水素製造 / 海水電解 / 電極表面構造解析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、海流の運動エネルギーを電気エネルギーに変換する海流MHD発電に着目し、高効率な発電・水素製造用電極の開発指針を得ることを目的としている。海流MHD発電中には電極上で海水電解が進行し水素が生成するため、電力と水素の両方を一挙に取得可能なシステムとして期待できる。しかし、海水電解では塩素などの有害な副生成物が発生するため、副生成物の発生を抑制し水素を効率よく生成する新規電極の開発が必須である。また、海流MHD発電は強磁場下で作動するため、磁場が海水電解反応に影響を及ぼす可能性が高い。本研究では、電極表面構造解析による海水電解反応機構、および海水電解反応に及ぼす磁場の影響を解明する。
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研究実績の概要 |
本研究では、海水および海流の運動エネルギーを利用した発電手法である、海流MHD(Magneto-Hydro-Dynamics)発電に着目した。海流MHD発電中には、電極上で海水の電気分解が起こり水素が発生するため、電気エネルギーと水素の両方を一挙に取得可能なシステムとして期待できる。しかし、アノードでは塩化物イオンが関与した副反応が進行し、有害物質発生や電極劣化などの問題を引き起こす。海流MHD発電・水素製造の実用化のためには、海水電気分解反応機構を解明し、水素発生効率向上および副反応の抑制を達成することが必須である。 海流MHD発電は強磁場下で進行するが、イオンが溶解した導電性流体中に磁場を印加すると、電荷をもったイオンはローレンツ力を受ける。溶液中のイオンは電気化学反応における活物質であり、イオンの電極近傍への移動は電気化学反応が進行する上で非常に重要なファクターである。このことから、海水電気分解の反応速度や活物質の供給メカニズムが磁場の影響を受けることが考えられる。また、イオンが受けるローレンツ力の大きさは、溶液の流速にも影響を受けるため、流速の影響も考慮する必要がある。そこで海流MHD発電中に進行する海水電気分解反応に対する磁場および流速の影響を明らかにするために、リニア型海流MHD発電機を再現する電気化学セルcellを作製し、3.5% NaCl溶液フロー、磁場印加条件下で電気化学測定を行った。磁場印加下において、アノードおよびカソード反応活物質であるCl-およびH+にローレンツ力が働くことによる反応電位シフトが観測され、磁場強度および流速が海水電解反応電位・電流値の相関関係を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、所属機関の異動に伴うさまざまな業務の変化や増加によって、十分に研究を進めることが困難であった。 また、磁場印加条件下での電気化学測定を行う際に使用するクライオスタットの予期せぬ故障や日程確保が困難であったことなどから、当初の予定より磁場印加条件下での実験を進めることできなかった。 以上を踏まえて本年度の進捗状況について「やや遅れている」と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
海水電解のアノード反応について、より詳細に検討を行う。アノード反応では、Cl-とOH-が関与する酸化反応が起こるので、Clを含まないNa2SO4溶液での磁場印加条件下電気化学測定を行い、Cl-が関与する反応と、OH-が関与する反応それぞれが磁場から受ける影響について検討する。また、Pt(111)とPt(100)電極を用いてNaCl濃度を変えた溶液中での電気化学測定を行い、残留塩素濃度の違いなどを定量的に解析することでアノード反応の表面原子配列依存性を明らかにする。
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