研究課題/領域番号 |
22K14773
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分36020:エネルギー関連化学
|
研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
土井 大輔 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 高速炉・新型炉研究開発部門 敦賀総合研究開発センター, 研究職 (50716107)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 水素 / 金属ナトリウム / 低沸点溶媒 / X線回折(XRD) / 熱重量・示差熱分析(TG-DTA) / 質量分析(MS) / 熱分析 / ラマン分光分析 / 量子化学計算 |
研究開始時の研究の概要 |
ナトリウム化合物から水素が放出される反応は、水素貯蔵材料開発等の基礎研究からナトリウム冷却高速炉開発等の応用研究までの幅広い分野で注目されている。しかし、Na―O―H系で競合する反応の中で、ナトリウムと水酸化ナトリウムとの反応は、水素がどのような反応過程で生成されるかが明らかでない。本研究では、新たに作製する金属ナトリウム微粒子を活用して、均質な混合試料(Na+NaOH)を用いた熱重量・示差熱分析及び質量分析、温度可変のX線回折測定及びラマン分光分析による実験と、量子化学計算による理論計算により、Na+NaOH反応における反応速度及び反応過程を明らかにする。
|
研究実績の概要 |
金属ナトリウム(Na)と水酸化ナトリウム(NaOH)が反応して水素が放出される反応(Na+NaOH反応)は、ナトリウム-酸素-水素で構成される反応系で生じ得る他の水素放出反応と比べて、反応挙動(反応速度及び反応過程)が十分に解明されていない。本研究では、切出したナトリウム小片と水酸化ナトリウム粉末による不均質な混合試料ではなく、新たに作製する金属ナトリウム微粒子(粉末)による均質な混合試料を使用した熱分析(熱重量・示差熱分析及び質量分析(TG-DTA/MS))で反応速度を求め、温度可変の化学分析(X線回折測定及びラマン分光分析)と量子化学計算を併用して反応過程を明らかにする。 2022年度は、ナトリウム微粒子の作製技術を開発し、作製試料を用いたNa+NaOH反応の熱的挙動について熱分析を開始した。ナトリウム微粒子作製では、鉱物油中に分散したナトリウム微粒子を抽出するべく、鉱物油を低沸点溶媒に置換した後に、不活性雰囲気下で低沸点溶媒を蒸発させ、乾燥粉末を作製した。そして、粉末X線回折(室温)及び熱分析(TG-DTA/MS)で粉末の特性を評価した。その結果、粉末のX線回折プロファイル及び昇温時の融点はナトリウムと一致し、昇温過程で有意な重量減少は生じないため、ほぼ不純物を含有しないナトリウム微粒子の粉末であることが示唆された。また、Na+NaOH反応の熱的挙動分析では、上記のナトリウム粉末と、水酸化ナトリウム粉末による均質な混合試料の熱分析(TG-DTA/MS)を行った。その結果、従来の不均質な混合試料に比べて、質量分析において反応温度を特定できる鋭い水素放出ピークが検出され、混合試料内で均質な反応場が形成されていることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は、ナトリウム微粒子の作製技術を開発するとともに、作製したナトリウム粉末と水酸化ナトリウム粉末による均質試料の熱分析(TG-DTA/MS)を開始し、水素放出反応(Na+NaOH反応)が生じていることを確認することができた。これら研究進捗は、概ね想定通りであるため。
|
今後の研究の推進方策 |
熱分析(TG-DTA/MS)の測定データを拡充し、反応速度を評価する。また、次年度から温度可変な化学分析(X線回折測定、ラマン分光分析)を開始し、昇温時に生じる水酸化ナトリウムの結晶構造や化学結合の変化をその場観察する。さらに、量子化学計算で反応経路を推定し、Na+NaOH反応の反応過程を明らかにしていく。
|