研究課題/領域番号 |
22K14774
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分36020:エネルギー関連化学
|
研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
大岡 英史 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 研究員 (90825994)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
|
キーワード | 電極触媒 / 活性予測 / 応用数理 / 反応速度論 / 熱力学 / 電極触媒理論 |
研究開始時の研究の概要 |
水から水素を作ったり、二酸化炭素からエチレンなどの化学資源を作るためには、還元力が必要である。この還元力を低環境負荷で獲得する方法として、水から電子を獲得する酸素発生反応がある。しかし、酸素発生反応を起こすためには、既存の触媒の活性向上が必要である。
そこで本研究では、酸素発生触媒の活性向上に向けた理論構築を行う。酸素発生触媒は、数十年間、精力的に研究されてきたが、未だに活性が不十分である。本研究で理論的な設計指針を獲得することで、今後の触媒開発を促進することを目指す。
|
研究実績の概要 |
酸素発生反応(2H2O --> O2 + 4H+ + 4e-)は、水の電気分解によるグリーン水素製造のボトルネックとなることが知られている。このため、世界中で酸素発生反応を効率化するための触媒開発が行われている。特にこれまで、反応の自由エネルギー変化などの熱力学的パラメーターを中心に活性向上が行われてきた。この背景には、Sabatier則と呼ばれる、1913年頃に提唱された法則がある。この法則は、「良い触媒とは、反応基質と適度に相互作用をするものである。なぜなら、相互作用が弱すぎると触媒が十分に作用できず、逆に強すぎると触媒から反応基質が離れないためである。」と主張するものであり、現在の不均一触媒開発の礎となる基本指針である。特に、近年の機械学習を用いたデータ駆動型触媒設計でも広く使われている設計指針である。一方で、熱力学的な観点のみでは、反応がどの程度速く進むか、という定量的な活性予測が困難であるため、Sabatier則による活性予測の精度向上が課題となっている。
そこで本研究では、従来の熱力学モデルに対し反応速度論を導入することで、酸素発生反応の活性予測モデルを構築し、その正しさを実験および機械学習で検証することを目指す。本年度は活性予測の数式を導出できたため、次年度、その妥当性を検証する。導出の際には、既存の論文で主流とされる反応機構(H2O --> OH --> O --> OOH --> O2)に加え、その対立仮説となる反応機構(O+O --> O2)も考慮した。そして定常状態近似を仮定することで、触媒活性の理論式を獲得した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初、最も苦労すると想定していた触媒活性の理論式を1年で導出できたため。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでコバルトやマンガン、イリジウム酸化物の触媒活性データを取得しているため、これらを中心に理論式の検証を行う。理論と実験を照合する際、これまで開発してきた機械学習アルゴリズムを活用するが、これまで扱ってきた反応に比べて酸素発生反応は複雑なため、探索能力向上のためのアルゴリズム改良を行う。
|