研究課題/領域番号 |
22K14782
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分37010:生体関連化学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
宇佐見 享嗣 名古屋大学, 高等研究院(WPI), 特任助教 (40890447)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 生物変換 / 昆虫 / 分子ナノカーボン / 生体触媒 / タンパク質 |
研究開始時の研究の概要 |
分子ナノカーボンは、最も活発な研究領域の一つであり、官能基を付与することで新たな物性や機能が見出されている。しかし、適用可能な分子は限定的なため、依然として反応開発が強く求められている。最近申請者は、代表的な分子ナノカーボンであるカーボンナノリング ([6]CPP) がハスモンヨトウ幼虫により位置選択的に直接水酸化されることを発見した。そこで本研究では、 [6]CPP の水酸化反応に関わる遺伝子を RNA-seq により探索・同定し、同遺伝子にコードされるタンパク質の機能を明らかにすることで基礎と応用の両面からナノカーボンバイオロジーという新分野の創出に向けた学術的な基盤を固める。
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研究成果の概要 |
本研究課題により、生体触媒として昆虫であるハスモンヨトウ幼虫を用い、分子ナノカーボンの直接酸化に関与する新規タンパク質の探索と機能を解明することに成功した。直接酸化に関与する酵素タンパク質は異物代謝酵素であるチトクローム P450 の一種である。さらに、さまざまなサイズの分子ナノカーボンをハスモンヨトウ幼虫へ供することで基質特異性を明らかにし、計算科学により結合構造や安定性、反応メカニズムの推定に成功した。 今後は、標的タンパク質の分子機能能を詳細に明らかにすることで、新規機能性分子ナノカーボンが創製できると考えられる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
分子ナノカーボンは、現在、その特異な性質から工学を始め様々な分野で利用され、生物医学への応用可能性が示され、より複雑な未踏・新奇な分子ナノカーボンの精密設計・合成法が確立している。また、位置選択的に官能基を付与することで新たな物性や機能が見出されているが、適用可能な分子は限定的である。本研究では、昆虫が有する異物代謝能力に着目し実験を進めることで、機能化反応に関与する酵素タンパク質とその機能解明に成功した。本成果は、これまで有機合成的手法や物理的手法による合成・変換が「常識」であった分子ナノカーボン分野に「昆虫を用いた機能分子創製」という新たなオプションを提示する大きな第一歩である。
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