研究課題/領域番号 |
22K14791
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分37020:生物分子化学関連
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
佐藤 玄 山梨大学, 工学部, 特任助教 (80782648)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | テルペン / DFT |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では, トリフルオロメチル基(CF3基)を有する人工基質を用いて, 環化反応の制御メカニズムについて精査し, (1)カルボカチオンの求電子性の向上, (2)二重結合の電子密度低下などにより引き起こされる環化反応への影響と, テルペン環化反応における Me 基の役割を明らかにすることを目的とする. 本研究課題は, テルペン環化反応機構を深く理解し「自然に学ぶものづくり」に応用するという工学的な意義とともに, カルボカチオンの反応性という基礎学理の追求という意義を併せ持つ研究課題である.
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研究実績の概要 |
我々の研究グループは、テルペン環化酵素におけるカチオンの反応性について検討することに注力してきました。具体的には、関連するテルペン環化反応の計算化学による解析を行い、その成果として3つの論文を発表するに至りました。 最初の主要な研究結果は、Chem. Euro. J. 誌に報告しました。この論文では、メチル基が反応の協奏性や活性化エネルギーにどのような影響を与えるのかを詳細に調査しました。メチル基の存在と配置が反応過程にどのように影響を及ぼすのかについての理解は、天然物合成におけるテルペン化合物の反応性に対する深い洞察を提供しました。この研究は、テルペン環化酵素の反応メカニズムの理解を深め、新たな合成戦略の開発に寄与する可能性があります。 また、我々の研究グループはJACS Au 誌にて、縮環部分の立体化学が反応に与える影響について発表しました。この論文では、立体化学が反応経路や活性化エネルギーにどのように影響を及ぼすかについて詳細に検討しました。立体化学の微妙な違いが反応性や選択性に及ぼす影響の理解は、効率的な化合物合成への道を開く可能性があります。 これらの研究成果は、テルペン環化酵素の反応機構についての新たな理解を提供し、計算化学を用いた解析手法が天然物化学における課題解決にどのように貢献できるかを示しています。次年度は、有機合成化学的手法により、これらの知見を確認したいと考えております。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当研究グループは、計算化学を用いてカルボカチオンの反応性について検討を行うという目標を設定し、これについては当初の予想以上の進捗を遂げています。複雑な反応メカニズムと反応性を有するカルボカチオンについての理解を深めるため、我々は緻密な計算手法を採用しました。その結果、非常に有意義な結果が得られ、これまでにいくつかの論文を発表することができました。これらの論文は、カルボカチオンの反応性に対する理解を大いに進め、その結果、新しい合成戦略の開発や既存の合成方法の改善につながる可能性があります。 また、基質の合成についても、我々の計画通りに順調に進行しています。多段階の合成を着実に進めております。現在の進捗状況を踏まえると、2年目に環化反応の検討を行うことが十分可能であると考えられます。 全体として、我々の研究は予定通り、また一部ではそれ以上に進んでいます。我々は引き続き、これらの成果を基に新たな研究を推進し、化学反応の理解を深めることで、新たな化学合成法の開発に貢献することを目指しています。
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今後の研究の推進方策 |
当研究グループの現在の進行状況は極めて順調で、特に計算化学を用いた解析は当初の予定以上の進捗を遂げています。この段階で得られた結果は、研究の全体像を理解し、今後の方向性を明確にするのに貴重な情報を提供しています。 今後の研究推進方策としては、まず2年目には、モデル基質の合成を完了することを目指します。これまでに得られた計算化学による結果を基に、最適な基質設計を行い、効率的かつ選択性の高い反応を実現します。基質の合成が完了した後は、その基質を用いた環化反応の研究に取り組みます。反応経路の解明とともに、反応条件の最適化も並行して行うことで、環化反応の理解を深め、新たな合成戦略の開発につながる結果を得ることを期待しています。 また、計算化学の結果を実験結果と結びつけ、反応の理解をさらに深めることも重要な目標です。計算と実験の結果が一致することで、計算化学による予測の正確さと有用性が実証され、その結果、計算化学を用いた解析手法の信頼性と有用性がさらに高まると期待されます。 全体として、我々の研究は計算化学と実験化学の融合を目指し、これまでの研究成果を基に、新たな合成戦略の開発や既存の合成方法の改善に取り組んでまいります。
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