研究課題/領域番号 |
22K14797
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分37030:ケミカルバイオロジー関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
天池 一真 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 助教 (00866600)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 核酸輸送 / ナノカーボン分子 / ポリエチレンイミン / ポリアリーレン / ナノカーボン |
研究開始時の研究の概要 |
核酸輸送はDNAやRNAを外部から宿主細胞に導入することであり、創薬や育種の現場から基礎生物学に至るまで生命科学研究に絶対的に不可欠な技術である。生命現象の理解と制御のさらなる高度化が必要な今、効率や選択性はもちろんのこと生体直交性などの多様な機能が核酸輸送に求められている。核酸輸送の分野に全く新しい方法、キャリア分子群の登場がまたれる所以である。本研究では、哺乳・植物・昆虫を対象とした核酸輸送を加速させるテーラーメイドな核酸輸送ナノカーボン分子を創製することで基礎と応用の両面からこの分野に非線形のブレークスルーをもたらす。
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研究実績の概要 |
近年、核酸医薬やゲノム編集技術といった核酸を用いた技術の発展が目覚ましい。これらの技術は基本的に、核酸が核に到達することで機能が発揮されるため、効率的に外部から核酸を輸送することが求められる。しかし生物は細胞膜や細胞壁などの脂溶性の高い物理的な障壁を持つため、電荷を帯びた核酸を細胞内に輸送するのは一般的に困難である。そのため現在においても核酸輸送法の開発、改良が進められている。近年、カチオン性カーボンナノチューブをはじめとする炭素材料(ナノカーボン)が、新たな核酸輸送のための次世代キャリアとして期待が高まっている。しかしその詳細な作用機序、最適なナノカーボンの構造情報は不明のままである。そのため本研究課題では、精密に構造が制御されたナノカーボン分子を合成し、哺乳、植物、昆虫を対象とした構造物性相関研究をおこない、それぞれの生物種に合わせたテーラーメイドなナノカーボン分子の創製をおこなう。分子設計に関しては、細胞外におけるナノカーボン分子と核酸との相互作用、細胞膜、細胞壁の透過能、そして細胞内における核酸の解離を念頭においておこなう。一次元に伸張したナノカーボン分子の合成に関しては共有結合的に伸張させる方法を確立した。すなわち、最近報告したデンドリマーを担体とした芳香族ポリマー(Fujiki et al. Nature Communications 2022, 13, 5358.)に対して、ポリエチレンイミンを作用させることで、一段階で種々の一次元に伸張したナノカーボン分子を合成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
近年、カチオン性カーボンナノチューブをはじめとする炭素材料(ナノカーボン)が、新たな核酸輸送のための次世代キャリアとして期待が高まっているものの、その詳細な作用機序、最適なナノカーボンの構造情報は不明のままである。今回、一次元に伸張したナノカーボン分子の合成に関しては共有結合的に伸張させる方法を確立した。すなわち、最近報告したデンドリマーを担体とした芳香族ポリマー(Fujiki et al. Nature Communications 2022, 13, 5358.)に対して、ポリエチレンイミンを作用させることで、一段階で種々の一次元に伸張したカチオン性ナノカーボン分子を合成した。 複数種類の一次元伸長ナノカーボンを精密に合成できたため、おおむね順調に研究は進行している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度合成を達成した分子を用いて構造物性相関研究を遂行する。またその結果をもとに、一次元伸長ナノカーボンの骨格デザインや、付与するカチオン性ポリマーを変更し、哺乳類、昆虫、植物それぞれに最適な核酸輸送材料を合成する。
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