研究課題/領域番号 |
22K14799
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分37030:ケミカルバイオロジー関連
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所) (2023) 成蹊大学 (2022) |
研究代表者 |
栗原 大輝 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, 糖鎖オンコロジー部 研究員 (70825372)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 小胞体 / マンノシダーゼ / 糖鎖特異性 / 糖鎖 / マンノシダーゼ阻害剤 / 高マンノース型糖鎖 / 糖鎖解析 / 糖タンパク質品質管理 / 合成化学 / マンノシダーセ阻害剤 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は細胞恒常性の維持に重要な糖タンパク質品質管理機構における糖タンパク質の分泌/分解経路の理解を目指す。これまでに in vitro では2つの独立した糖タンパク質の分泌/分解経路が存在すると報告しているが、実際の生細胞内にてこの経路が存在しているかは不明である。そこで、本研究では細胞内における2つの独立した糖タンパク質分泌/分解経路の有無を検証する。
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研究実績の概要 |
小胞体内ではタンパク質上にハイマンノース型糖鎖が付加され、糖タンパク質のフォールディング、分泌あるいは分解のシグナルとして機能している。これまでにこのタンパク質糖鎖のマンノーストリミングの差異により産生される同じマンノース数を有するハイマンノース型糖鎖の異性体における分泌や分解シグナルとしての機能がin vitroで想定されているものの、細胞内で同様のシグナル機能を有するかは不明である。我々は、これまでに独自の系を用いて試験管内で分泌あるいは分解に導く糖鎖シグナルを産生する独立した2系統のマンノーストリミング経路を発見していた。これを踏まえ、本研究ではこれまでに発見していた2系統のマンノーストリミング経路の細胞内での存在を検証することを目的とした。 2系統のマンノーストリミング経路は分泌あるいは分解シグナル糖鎖産生の選択的阻害剤の発見により達成されたため、これを細胞内での解析に適用可能な誘導体として細胞内でのマンノーストリミング経路解析に活用する計画としていた。昨年度までに母格となる構造の合成ルート確立と細胞由来小胞体の獲得法の確立に成功した。本年度は所属変更により研究計画の変更が必要となったため、これまでに明らかにしていたマンノーストリミング経路のin vitroでのさらなる理解を目指し、主に生化学実験、細胞実験を行った。その結果、同じマンノース数を有するハイマンノース型糖鎖の異性体は複数存在する小胞体のマンノーストリミング酵素の使い分けにより産生されている可能性を示す初期的知見が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた細胞内でのマンノーストリミング経路の解析のために必要な阻害剤の誘導体合成が実施できていない。その一方で、これまでに報告されているマンノーストリミング経路の責任酵素群と合成糖鎖プローブとの反応で、同じマンノース数を有するハイマンノース型糖鎖の異性体がこれら酵素の役割分担により産生されている可能性を示す初期的な知見を得た。当初計画からは遅れているが、細胞内での2系統のマンノーストリミング経路の検証において有益な知見を得られたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
当初研究計画の遂行に必要な最低限の環境構築に引き続き取り組む。一方で、研究計画を一部変更して、既に見出している選択的阻害剤を活用した細胞内における当該マンノーストリミング経路の存在の検証を行う。選択的阻害能を発揮するにはin vitro実験でも工夫が必要であった。したがって、培養細胞での選択的阻害剤を用いた細胞内マンノーストリミング経路の制御を検討する。また、糖鎖は小胞体で生合成された糖タンパク質上のハイマンノース型糖鎖のみを解析したい。そこでclick反応を利用して生合成過程の糖タンパク質を選択的に抽出して解析する予定である。 一方で、今年度の知見は細胞内での2系統のマンノーストリミング経路の存在について、in vitroでその責任酵素群の糖鎖特異性からその可能性を示す結果となり、当該研究課題の進展において有益であると考えている。したがって、マンノーストリミング酵素群のin vitroにおける役割分担についても検討を進めていく。
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