研究課題/領域番号 |
22K14814
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分38020:応用微生物学関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
古山 祐貴 東京理科大学, 理工学部応用生物科学科, 助教 (70906742)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 微生物間相互作用 / 皮膚常在細菌 / 皮膚常在菌 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトの皮膚には多種多様な細菌から成る皮膚常在細菌叢が存在しており、細菌叢を健全に 保つことが皮膚健康の維持に寄与すると期待されている。近年は培養を経ずにメタゲノム解析を行うことが主流であるが、メタゲノムだけでは細菌叢内における細菌間相互作用の分子機構を具体的に解析するのは難しい。そのため、培養可能な菌に関してすら相互作用 機構の詳細は不明である。本研究では培養 可能な菌を用いて、皮膚常在細菌叢におけるケミカルコミュニケーションシステムの仕組みを分子レベルで解明することに挑戦する。メタゲノムだけでは達成できない、より高解像度な細菌叢の理解を目指す。
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研究実績の概要 |
皮膚常在細菌の単離を行い、100株以上の常在菌サンプルを取得した。また、それらの株を用いて相互作用関係にある菌株のスクリーニングを行った。 その結果、ニキビの原因となる皮膚常在細菌であるアクネ菌のバイオフィルム形成を阻害する活性を示す細菌を見出した。興味深いことに、本菌はアクネ菌の生育を阻害することなく、バイオフィルム形成のみを特異的に阻害した。 現状ではアクネ菌の治療には殺菌剤が利用されるが、殺菌剤の使用には①耐性菌の出現リスクがある、②所謂善玉菌と呼ばれる皮膚にとって有益な作用を示す常在細菌も殺してしまうといったデメリットがある。さらに、アクネ菌が毛穴内でバイオフィルムを形成することで、殺菌剤が効きにくくなり、ニキビが治りにくくなることが知られている。以上のことから、本研究で見出したような、殺菌作用によらずアクネ菌のバイオフィルム形成を得意的に阻害できるような化合物は新たなニキビ治療法の開発に寄与するものであることが期待される。そのため我々は、本菌の培養液の代謝産物解析を行い、活性本体探索を進めている。現在、までに活性本体の候補となる化合物を見出している。実際に本化合物が活性本体であるのかといった点に関して検証を進めるとともに、その作用機序解析を行っている。 上記に加え、洗濯物の生乾き臭の原因となる常在細菌であるモラクセラ属菌の生育を阻害する細菌を2種、耳漏の原因菌となる日和見病原菌であるブレビバクテリウム属菌の生育を阻害する細菌を3種見出している。これらの細菌に関しても活性本体の同定と作用機序解析に取り組んでいる。これらの知見に関しては、新たな洗濯用洗剤の開発や日和見感染症の予防法開発などへの応用が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
皮膚常在細菌のスクリーニングを行い、当初の予定通り、化合物を介した相互作用関係にある細菌種の組み合わせを複数見出している。また、それらの細菌の代謝産物解析を行い、1つずつではあるが活性本体の同定に取り組めている。
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今後の研究の推進方策 |
現在までに見出している組み合わせに関して活性本体の同定を進めるとともに、作用機序解析に取り組む。また、引き続きサンプリングおよびスクリーニングを行い、新たな組み合わせの探索も進めていく。
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