研究課題/領域番号 |
22K14817
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分38020:応用微生物学関連
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研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
門岡 千尋 崇城大学, 生物生命学部, 助教 (80909630)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | Cryptococcus neoformans / 莢膜多糖 / グルクロノキシロマンノガラクタン / ガラクトース転移酵素 / マンノース転移酵素 / 糖転移酵素 / グルクロノキシロマンナン |
研究開始時の研究の概要 |
クリプトコッカス症の主な原因菌である担子菌酵母Cryptococcus neoformansは、カプセルと呼ばれる厚い莢膜多糖を細胞表層に産生する。カプセルは宿主免疫系の回避をとおして、本菌の毒性発揮において最も重要な病原性因子として機能する。カプセルはゴルジ体において生合成された後、細胞表層に輸送されると考えられているが、その生合成に関与する糖転移酵素はほとんど同定されていない。本研究では、バイオインフォマティクスを駆使してC. neoformansのゲノム上より見出した30種の推定ゴルジ体局在機能未知タンパク質の機能解析を行うことで、カプセルの生合成に関与する新規糖転移酵素を同定する。
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研究実績の概要 |
クリプトコッカス症の主な原因菌であるCryptococcus neoformansが細胞表層に産生する莢膜はグルクロノキシロマンナン(GXM)とグルクロノキシロマンノガラクタン(GXMGal)の2種類の多糖で構成されている。本研究ではGXMとGXMGalの生合成に関与する新規糖転移酵素の同定を目的としている。 本年度は、GXMGalのガラクトマンナン側鎖の生合成に関与するβ-(1→3)-ガラクトース転移酵素の探索を行った。分裂酵母Schizosaccharomyces pombeにおいて同定されているβ-(1→3)-ガラクトース転移酵素Pvg3のアミノ酸配列をクエリとして、C. neoformansにおけるホモログを検索した結果、GIPC β-(1→6)-ガラクトース転移酵素として同定されているGgt1の他に2つホモログが存在したため、それぞれGgt2およびGgt3とした。Ggtホモログの系統解析を行った結果、Ggt1ホモログは担子菌門に広く保存されていたのに対し、Ggt2とGgt3はCryptococcus属を含むシロキクラゲ科の真菌にのみ保存されていた。まず、Cryptococcus neoformans H99株において、GGT遺伝子群の各単独破壊株を構築し、その表現型を解析した結果、ggt2破壊株は37℃において温度感受性を示すことが明らかになった。次に、ggt1~ggt3破壊株のGXMGal構造をNMRおよびメチル化GC-MSによって解析した結果、ggt2破壊株ではGXMGalのガラクトマンナン側鎖が減少、もしくは消失していることが示された。以上の結果から、Ggt2はCryptococcus neoformansにおけるGXMGalのガラクトマンナン側鎖の生合成に関与するα-ガラクトシド β-(1→3)-ガラクトース転移酵素であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度も莢膜の生合成に関与する新規糖転移酵素の探索を行った結果、新たにGXMGalのガラクトマンナン側鎖生合成の初発反応を担うα-ガラクトシド β-(1→3)-ガラクトース転移酵素Ggt2を同定することに成功した。C. neoformans においてggt2遺伝子破壊株はヒトの体温である37℃において温度感受性を示したことから、GXMGalのガラクトマンナン側鎖にはC. neoformansの高温ストレス耐性において重要な役割があり、クリプトコッカス症に対する新たな抗真菌薬開発のための創薬ターゲットとして有望である可能性が考えられた。よって、当初の計画通りにおおむね順調に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
来年度も新規糖転移酵素の探索を引き続き実施する。また、cgm1破壊株やggt2破壊株のマウスに対する感染実験を通して、病原性発揮におけるGXMGalのガラクトマンナン側鎖の役割を明らかにする。さらに、Ggt2に関しては大量の組換え酵素を調整することができたにも関わらず、in vitroにおける糖転移活性を検出することができなかった。Ggt2は比較的長鎖の糖鎖を受容基質として認識する可能性が考えられたため、様々な長さのα-(1→6)-ガラクトオリゴ糖を調整し、Ggt2の糖転移活性を検出する予定である。
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