研究課題/領域番号 |
22K14818
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分38020:応用微生物学関連
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研究機関 | 宇部工業高等専門学校 |
研究代表者 |
町田 峻太郎 宇部工業高等専門学校, 物質工学科, 助教 (40827490)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 微細藻類 / 油糧酵母 / 有用物質生産 / バイオ燃料 / トリアシルグリセロール / シアノバクテリア / 窒素固定 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、微細藻類や油糧酵母を利用した油脂生産に注目が集まっている。しかし、微細藻類による油脂生産量は限定されていること、従属栄養微生物である酵母の培養にはコストがかかることがボトルネックとなり、実用的な油脂生産までには至っていない。また、油脂生産性を強化した遺伝子組換え微細藻類は、法規制の観点から、屋外大量培養の実現が難しい。そこで、本研究計画では、遺伝子組換え体を使用しない新しい油脂生産技術を開発するため、微細藻類から抽出したエキスを主要な栄養源とする油糧酵母の単離と利用を目指し研究を行う。
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研究実績の概要 |
当該年度は微細藻類エキスを使用した油脂酵母の培養評価を行った。前年度までに最適化した方法で抽出した微細藻類エキスを主成分とする油脂酵母用培地を作製した。まず、微細藻類エキスをオートクレーブ滅菌し、その滅菌した微細藻類エキスのみからなる培地で油脂生産酵母Lipomyces starkeyi JCM 5995株を培養した。その結果、L. starkeyiの増殖はわずかであった。微細藻類エキス中のTOC値は栄養リッチな油脂生産酵母用汎用培地YM培地と比較すると60%程度であり、グルコース量は10%程度であったため、微細藻類エキスに含まれる炭素源が足りないと考えた。そこで、微細藻類エキスをオートクレーブ滅菌し、その滅菌した微細藻類エキスにグルコースを添加して、L. starkeyiの生育評価行った。培養は50 mL三角フラスコに20 mLの培地を入れ、25℃、250 rpmで行い、L. starkeyi前培養液を1000分の1量加えて行った。細胞の生育は分光光度計を用いてOD600を測定することでモニターした。その結果、グルコースの添加によりL. starkeyiの顕著な生育がみられた。グルコース量は20 mg/mLの濃度になるまで生育の向上に寄与し、40, 50 mg/mLの濃度とすると少し増殖は遅れるものの生育はさらに向上した。また、このときの生育の状況はYM培地を使用した場合と同様でありグルコースを添加した微細藻類エキス培地はYM培地に匹敵するほど増殖能力が高い培地であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定通り、エキス化方法を検討しそのエキスを培地成分として使用した際の油脂酵母培養評価ができている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は①微細藻類エキスを使用したときの油脂酵母の油脂生産性評価、②微細藻類エキス資化性脂生産酵母のスクリーニングを行う。 実施項目①について、L. starkeyiを微細藻類エキス培地あるいはYM培地で培養し、それぞれ7日目の培養液中の細胞から脂肪酸メチルエステルを抽出し、脂質の脂肪酸組成の解析を行う。微細藻類エキス培地とYM培地を用いた場合の結果を比較して遜色のない脂肪酸量および脂肪酸組成が示されれば、微細藻類エキス培地は栄養リッチな汎用培地に匹敵する増殖能力と酵母の脂質生産性を維持した培地であるといえる。 実施項目②の方策として、当該年度までに作製法を確立した微細藻類エキス培地を使用する。この培地に環境サンプルを塗布し、出現するコロニーを微細藻類エキス資化性酵母として単離する。単離した細胞は、分子系統解析により同定および、抽出した脂肪酸メチルエステルのガスクロマトグラフィー分析による油脂の生産性評価をする。
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