研究課題/領域番号 |
22K14831
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分38030:応用生物化学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
宋和 慶盛 京都大学, 農学研究科, 助教 (90904095)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 直接電子移動型酵素 / フルクトース脱水素酵素 / バイオセンサ / クライオ電子顕微鏡 / 生物電気化学 / 構造生物学 / 酵素工学 / バイオ電池 / 酸化還元酵素 / 直接電子移動型酵素電極反応 |
研究開始時の研究の概要 |
直接電子移動型酵素電極反応(=DET型反応)は,酵素と電極のみで構成される理想的な反応系であり,酸化還元酵素の基礎研究から応用研究に至るまで,幅広い分野で注目を集めている.しかし,本反応を実現できる酵素の報告例は少ない上に,反応機構も解明されていない.そこで,高いDET型活性を持ち,生物電気化学的検討が進められてきたフルクトース脱水素酵素(FDH)をモデル酵素として活用する.クライオ電子顕微鏡による立体構造解析を導入し,酵素工学や電気化学と組み合わせた多角的な仮説検証を行う.さらに,構造予測技術も活用し,仮説検証を迅速に遂行することで,反応機構解明を目指し,DET型酵素の利活用に貢献する.
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研究実績の概要 |
直接電子移動型酵素電極反応(=DET型反応)は,酵素と電極のみで構成される理想的な反応系であり,酸化還元酵素の基礎研究から環境に優しい次世代型デ バイスに向けた応用研究に至るまで,幅広い分野で注目を集めている.しかし,本反応を実現できる酵素の報告例は少なく,反応機構も解明されていない.そこで本研究では,「生物電気化学と立体構造解析および予測技術を融合させた手法によるDET型反応機構の解明」を目的とする. モデル酵素であるフルクトース脱水素酵素(FDH)の立体構造をクライオ電子顕微鏡観察法を利用し,酸化還元状態を制御した条件で,2.5Å(還元型)の分解能(PDB:8JEJ)まで向上させた.本成果は,キノヘモあるいはフラボヘモタンパク質で報告されているDET型酵素において世界で初めての立体構造解析例(PDB:7W2J)の分解能をさらに改善したものである. 次に,解明した立体構造に基づきFDHの基質認識機構を考察した.酵素表面を観察し,触媒活性部位であるFADに繋がる明瞭なキャビティーを確認した.ドッキングシミュレーションにより,基質認識に必要なアミノ酸残基を3つ特定し,それぞれのアミノ酸残基が触媒機能を酵素工学的に解明した. また,電子伝達サブユニット内のヘム2cが電極反応部位であることを立証し,さらにヘム2cから酵素表面に存在する芳香族アミノ酸に着目し,酵素-電極間の長距離電子移動促進効果を検証した.着目したトリプトファンとフェニルアラニンのアラニン置換体を作製し,トリプトファンが長距離電子移動速度を3倍加速していることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究計画は3つの研究計画から構成されている. <計画1:DET型反応経路の特定と構造予測技術の検証>,<計画2:可溶性FDHの作製と生物電気化学的検討>,<計画3:電極反応部位のヘムcに着目した 変異体作製とDET型反応機構の解明> 計画1は,1年目にすでに達成済みである.また,計画3に関しても,DET型反応機構の解明のカギとなるアミノ酸残基を特定することができている.すでに当該アミノ酸残基に着目し た変異体の作製と電気化学特性評価を完了している.なお,計画2に関しても,可溶化FDHの取得に成功しており,計画を前倒しにして検討を進めている. る.
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今後の研究の推進方策 |
計画2に関しては,電気化学評価を実施する.また,立体構造解析も行い,構造生物学と生物電気化学を融合させた検討を進める. また,本研究における付随的成果として,FDHの基質認識機構が解明することができた.本成果は,基質認識機構を制御することで新規酵素を創出する発想につながるものである.より発展的な酵素利用に向けた検討も推進していく.
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