研究課題/領域番号 |
22K14832
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分38030:応用生物化学関連
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
白石 都 九州大学, 薬学研究院, 助教 (00813940)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 古細菌 / アーキア / ヌクレオチド除去修復 / DNA修復 / XPB |
研究開始時の研究の概要 |
真正細菌と真核生物に属さず独立した生物群を構成する古細菌は生命の起源に近い始原的な性質を持つ。原始的な地球で誕生し、高紫外線量下で生存してきた古細菌群は損傷に対する何らかの強力な対応機構を有していると考えられる。真正細菌および真核生物は、紫外線で生じるDNA損傷を修復するヌクレオチ ド除去修復(NER)機構を有しているが、古細菌はNER機構が長らく不明のままである。本研究では、生化学的・細胞生物学的手法により古細菌が持つNER機構を明らかにし、古細菌群の高い環境適応性を支える分子基盤を理解するとともに、核酸関連因子の新規機能の発掘、さらに核酸化学およびゲノム工学分野の進展に繋げる。
|
研究実績の概要 |
本研究は超好熱性古細菌が持つ紫外線損傷修復機構を明らかにすること、また古細菌が持つ真核生物型ヌクレオチド除去修復タンパク質のホモログ(XPBとXPD)の機能解明を目的として進めている。抗XPB抗体とXPBの組換えタンパク質をベイトとした共免疫沈降-LC-MS/MS解析の結果から、T. kodakarensis XPBに結合する可能性のあるタンパク質を多数同定することができた。スペクトルカウントが多い因子について酵母ツーハイブリット法を用いて相互作用解析を行った。これにより、相互する可能性の高いタンパク質をピックアップできた。さらに、質量分析で検出された全てのタンパク質について、AlphaFold2を用いてT. kodakarensis XPBとの複合体構造予測をおこなった。以上、酵母ツーハイブリット解析とAlphaFold2を用いた予測解析から、相互作用する可能性の高いタンパク質をさらに絞り込むことができた。これらのタンパク質についてはクローニングできたものから、大腸菌発現系を用いて組換えタンパク質として精製を行っている。すでに高純度に精製できたタンパク質は、ゲルろ過クロマトグラフィーによるXPBとの複合体解析の判定解析を行った。現時点では、調べたタンパク質の中で直接相互作用を示すタンパク質は見つかっていない。他の候補タンパク質についての解析を進めているが、中には可溶化しないタンパク質もあり発現条件等を模索中のものがある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
古細菌由来XPBと直接相互作用する因子を同定するために、酵母ツーハイブリッド法とAlphaFold2による複合体構造予測解析を順調に進行することができ、興味深い因子を絞り込むことができた。タンパク質間の相互作用が直接的かどうかを解析するため、in vitroでの相互作用解析を進めている。これまでに一部の候補タンパク質については高純度なタンパク質として調製することができた。調製できたタンパク質についてはゲルろ過クロマトグラフィーを用いた複合体形成の判定解析を進めることができた。他の因子についてもin vitro相互作用解析を着実に進めている。組換えタンパク質として調製できていない候補因子も存在するが、発現条件等の検討も進めている。以上、本研究の目的達成に向けて着実に研究を進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
古細菌由来XPBの相互作用因子の探索について、酵母ツーハイブリッド法とAlphaFold2を用いた解析により、XPBと直接相互作用する因子を絞り込めたが、まだ実際にXPBと相互作用する因子を同定できていない。このため、現在も進行中であるゲルろ過クロマトグラフィーを用いたタンパク質の複合体形成の判定解析を進める。組換えタンパク質としての調製が難しいことが分かったタンパク質については発現や精製の方法を検討していく予定である。また、真核生物型ヌクレオチド除去修復機構が修復対象とするDNA基質に結合するタンパク質の同定について、候補タンパク質の基質結合能、損傷認識や酵素活性についてはin vitroの機能解析を進める。
|