研究課題/領域番号 |
22K14835
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分38040:生物有機化学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岡村 仁則 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (80845785)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | アジリジン / 天然物 / 全合成 / 抗菌活性 / 構造活性相関 / 多剤耐性菌 |
研究開始時の研究の概要 |
度重なる薬剤耐性菌の出現により、いつの時代も新規抗生物質の探求は常に要求され続けている。特に、MRSAのように殆どの抗生物質が効かない多剤耐性菌に対しては、新たな作用機序で働く抗菌剤を見出す必要がある。MRSAを含む多剤耐性菌に対する高い抗菌活性を示す天然物ficellomycinは、その構造希少性及び魅力的な生物活性にもかかわらず臨床開発研究が停滞している。本研究では、ficellomycin及びその類縁天然物vazabitide Aを標的とする生物有機化学的研究を行い、効率的な合成法の開発とより高活性な誘導体創製を目指す。
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研究実績の概要 |
MRSAを含む幅広い多剤耐性菌に対して高い抗菌活性を示す天然物ficellomycinは、含窒素三員環であるアジリジン環が縮環した複雑骨格を有する天然物である。しかしながら、その構造希少性及び魅力的な生物活性にもかかわらず、合成法が確立されておらず臨床開発研究は停滞している。また、その絶対立体配置についても未解明のままである。本研究では、ficellomycin及びその類縁天然物vazabitide Aの効率的合成法の開発とより高活性な誘導体創製が目的である。従来の合成アプローチとは異なる「不安定な縮環アジリジン構造の終盤での一挙構築」を鍵戦略として設定し、これらの天然物の一網打尽的合成法の確立を目指した。1年目では縮環アジリジン構造の前駆体における1,2-ジアミン構造の効率的構築法の開発を目指し、1)デヒドロアミノ酸エステルへのアミノ酸ユニットの付加反応及び2)α-アミノケトンの還元的アミノ化によるジアミン形成、3)遷移金属を用いた還元的アルキル化の3つのアプローチを検討した。そのうち3)のアプローチにおいて所望の変換が達成できる可能性を見出せた。最終年度では上記のアプローチで環化前駆体の合成を検討したが、前駆体へと導くことは叶わず合成戦略を見直すこととなった。 以上の結果を踏まえ、合成が困難な1,2-ジアミン構造の構築法を合成初期に行うこととした。その結果、ニトロンに対する求核付加反応を利用することで所望のジアミン構造の構築を達成した。その後、アミノ基上のベンジル系保護基を二重結合を損なうことなく酸化的に除去することでフリーアミンへと変換できたが、最終的に環化前駆体の合成までは至っていない。
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