研究課題/領域番号 |
22K14836
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分38040:生物有機化学関連
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
森田 真布 名古屋大学, 理学研究科, 助教 (30865184)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | 共生細菌 / 生合成 / 葉状体 / 有機低分子 / 藻類 |
研究開始時の研究の概要 |
微生物共生は自然界の至るところに存在する。共生を物質・分子レベルで理解することは、基礎生命科学から農水産分野まで通じる重要な研究課題である。しかし、海洋性共生微生物の多くは未利用であり、二次代謝産物とその機能について十分に理解されているとは言えない。例えば、緑藻の共生細菌が生産する有機低分子化合物は、宿主の成長や形態に必須であることが示唆されているが、「どのようにして低分子が生産され(生合成)、なぜ宿主形態を制御するのか(分子機構)」は分かっていない。本研究では、次世代シーケンシングによる塩基配列解析と化学・生化学的手法を行い、宿主形態を制御する有機低分子の生産機構と作用機序の理解を目指す。
|
研究実績の概要 |
ヒトエグサ類やアオサ類の緑藻細胞を完全無菌条件下で培養すると、シート状の葉状体を形成するはずの細胞は正常な形態変化を起こすことができない。過去の研究から、海藻表面の共生微生物により形態形成が誘導されることが指摘されており、緑藻表面の共生細菌から活性物質が同定された例が報告されている。本研究では共生細菌が生産する有機低分子により宿主細胞に葉状体形成が引き起こされるメカニズムの理解を目指している。1)化学プローブの合成と遺伝子解析に用いるため、既知活性物質の取得を試みた。緑藻細胞に対する葉状体形成活性を指標にして、既知の活性物質を生産する共生細菌の培養液から本化合物の分離精製を行った。本株の培養上清を添加しても葉状体形成活性が見られなかったことから、本株は活性物質を生産しているものの生産量が極めて低いこと、活性試験の実施濃度が本化合物の至適濃度から外れている可能性が考えられた。そこで本年度は、共生細菌の培養条件や培養スケールを各種検討し、各培養条件における培養上清および分離後フラクションについて活性評価を進めた。共生細菌由来のサンプルにより単細胞からカルス状細胞塊へ変化することが複数回観察されているものの、現時点では、共生細菌の上清と各分離フラクションについて誘導活性は確認できていない。2)また、共生細菌株の二次代謝産物の生産能について遺伝子探索を行った。活性物質の生産株からゲノムDNAを取得し、ショットガンシーケンスにて配列解析を実施した。活性物質の生産に関与している遺伝子クラスターは検出されず、本化合物の生産遺伝子はゲノム上でクラスターを形成せずに存在しているものと推察される。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
共生細菌株による物質生産能が極めて微量であるため、実験で用いる化合物の取得に時間を要する。
|
今後の研究の推進方策 |
活性試験の再現性が乏しいことから、活性試験と併行して高分解能質量分析による検出を検討する。物質生産効率を向上させるような培養条件を探索しつつ、分離方法やカラム担体の選択を見直す。宿主、共生細菌共に遺伝子解析を実施する。生合成遺伝子が点在していると推定される細菌株についてはロングリードシーケンスも検討する。生合成経路仮説の精度を上げるために野生株における基質の取り込み実験を実施する。
|