研究課題/領域番号 |
22K14837
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分38040:生物有機化学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
桝谷 貴洋 京都大学, 農学研究科, 助教 (80803775)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 呼吸鎖酵素 / ユビキノン / Cryo-EM / コレラ菌 / ケミカルバイオロジー / 呼吸鎖 / NADH-キノン酸化還元酵素 / ナトリウム輸送 |
研究開始時の研究の概要 |
Na+輸送型NADH-キノン酸化還元酵素(Na+-NQR)は、基質の酸化還元と共役してNa+の能動輸送を行う膜タンパク質複合体である。2014年にコレラ菌Na+-NQRのX線結晶構造が報告されたが、酸化還元を担うコファクター間の距離が異常に長く、分子レベルでの反応メカニズム、特に、基質の酸化還元とNa+輸送の共役メカニズムについてはほとんど未解明のままである。本研究では、生合理的にデザインした構造系統的な合成キノン類縁体を用いて、Na+輸送に要求される側鎖構造因子を明らかにするとともに、cryo-電子顕微鏡により得る構造情報と併せてキノン還元とNa+輸送の共役メカニズムの解明を目指す。
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研究実績の概要 |
ナトリウムイオン輸送型NADH-キノン酸化還元酵素(NQR)は、基質の酸化還元と共役してナトリウムイオンの能動輸送を行う膜タンパク質複合体である。2022年度は基質の酸化還元とナトリウムイオン輸送の共役メカニズムを調べるため、様々な側鎖構造を有するキノン類を合成し、活性を評価した。活性評価にはコレラ菌由来NQRを再構成したプロテオリポソームを用い、キノン類ごとの還元活性と膜電位形成を定量的に測定した。その結果、炭素鎖が3つよりも短い側鎖を有するキノン類では還元は観察されるにも関わらず、ナトリウムイオンが輸送されないことがわかった。この知見は、キノンの側鎖構造が輸送に決定的な役割を担っていることを意味するものであった。 次にキノン還元とナトリウムイオン輸送の共役メカニズムを明らかにするために、NQRとキノンの結合状態を調べることとした。その予備段階として、キノン非結合型のNQRの構造をcryo-EMを用いた単粒子解析法による構造解析を実施し、3.1Å分解能で構造を決定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究で、キノン還元とナトリウムイオン輸送の共役に必要なキノン側鎖の構造を明らかにした。また、cryo-EMを用いた単粒子解析法によりNQRの構造を決定できた。このような理由から、研究は概ね順調に推移していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度にcryo-EMを用いてキノン非結合型のNQRの構造を決定できた。そこで2023年度は、キノン結合型や酵素が還元された状態等、様々な構造情報を得ることでキノン還元とナトリウムイオン輸送の共役メカニズムを明らかにする。また、結合親和性が低い基質(キノン)の結合型構造を取得することが困難であった場合、キノン側鎖に光親和性基を導入したキノンプローブ分子を用いて、キノン側鎖の結合部位をアミノ酸残基レベルで明らかにする。
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