研究課題/領域番号 |
22K14838
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分38040:生物有機化学関連
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研究機関 | 愛媛大学 (2023) 徳島大学 (2022) |
研究代表者 |
伊藤 剛 愛媛大学, 農学研究科, 助教 (50897733)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ミトコンドリア / リンゴ酸-キノン酸化還元酵素 / TCA回路 / マラリア原虫 / 異種発現 / 触媒機構 / リンゴ酸-キノン酸化還元酵素 / 阻害剤 / ケミカルバイオロジー |
研究開始時の研究の概要 |
マラリア原虫ミトコンドリアのリンゴ酸-キノン酸化還元酵素 (MQO)は、マラリア原虫のエネルギー代謝に重要なタンパク質であり、選択的な抗マラリア剤の標的分子として期待されている。MQOの強力な阻害剤ferulenolは選択的な抗マラリア剤のリード化合物として有望だが、ドラッグデザインの手掛かりに必要なferulenolの結合様式は不明のままである。本研究では、培養や遺伝子組換え実験が容易な酵母にマラリア原虫MQOを機能発現させ、その分子特性を理解する。さらに、この酵母発現系を駆使してferulenolの結合様式を解明し、その知見を基に類縁体合成を進めることで選択的な抗マラリア剤の創製を目指す。
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研究実績の概要 |
マラリア原虫リンゴ酸-キノン酸化還元酵素(PfMQO)は、リンゴ酸からオキサロ酢酸への酸化とキノンからキノールへの還元を触媒する。本酵素は、マラリア原虫ミトコンドリアのTCA回路と電子伝達系の構成因子として機能すると考えられており、抗マラリア剤の有望な標的分子として注目されている。前年度は、PfMQOが酵母ミトコンドリアで発現し、酵母のリンゴ酸脱水素酵素(yMDH1)の機能を代替することを示した。また、本酵素のリンゴ酸反応部位がマトリックス側に位置することを同定し、PfMQOがTCA回路の構成因子として機能するミトコンドリアタンパク質であることを明らかにした。 2023年度は、PfMQOの立体構造と触媒機構の理解を目指した。無水酢酸を利用したprotein footprintingでは、低分子が接触可能な露出した求核性アミノ酸残基(Lys, Ser, Thr, Tyr, Cys, His)を網羅的にアセチル化修飾することができる。本手法をPfMQOに適用し、基質等が接触可能なアミノ酸残基をマッピングした。また、AI(AlphaFold2)による構造予測モデルを合理的に組み合わせ、補因子FADが結合し得るcavityを見出した。 得られた構造情報に基づく点変異解析により、触媒部位(H123、H343、Y330)を同定した。また、その近傍のK135の置換では、リンゴ酸の拮抗阻害剤ferulenolに対する感受性が向上した。つまり、K135は阻害剤結合部位と重なって、かつリンゴ酸結合部位と隣接して位置すると考えられ、同定した触媒部位とも矛盾しない。構造的/機能的に相同なタンパク質の構造と触媒機構を参照したところ、上述のcavityにおけるFADの結合が強く示唆され、その詳細な結合様式を推定することができた。さらに、PfMQOにおけるリンゴ酸の酸化反応機構を提案することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
FerulenolはPfMQOをnMオーダーで阻害する強力な阻害剤であるが、PfMQO発現酵母(マラリア化酵母)に対する強い生育阻害は認められなかった。そのため、当初予定していた生育試験に基づく阻害剤耐性PfMQOの網羅的スクリーニングと、それに基づく触媒部位の探索は断念した。 一方、protein footprinting、AIによる構造予測、および点変異解析を合理的に組み合わせることで、PfMQOの触媒部位を明らかにした。また、阻害剤結合部位に関する知見も得ることができた。さらに、構造的/機能的に相同なタンパク質の構造と触媒機構を参照することで、FADとリンゴ酸の結合様式を示すとともに、リンゴ酸の酸化反応機構を提案することに成功した。これらの知見は、新規阻害剤をデザインする上で重要なヒントとなり得る。このような理由から、研究はおおむね順調に推移していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
PfMQOにおけるFADとリンゴ酸の結合様式について一定の知見が得られたことで、リンゴ酸の酸化反応機構を提案することができたが、キノンの還元反応機構については未だ不明なままである。そこで2024年度は、MQOにおけるキノン結合部位を明らかにし、触媒機構の全容を精査する。さらに、得られた知見をもとにMQO阻害剤をデザインする予定である。
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