研究課題/領域番号 |
22K14853
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
石橋 ちなみ 大阪公立大学, 大学院生活科学研究科, 講師 (80823418)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | テクスチャー / 澱粉 / 老化 / 保存 / 示差走査熱量計 / 糊化 / 氷結晶 / 自由水 / 束縛水 / ゲル / 物性 / 構造 |
研究開始時の研究の概要 |
澱粉を含む食品は,老化によって品質が低下するため,老化に伴う物性変化と構造変化の関係を把握し制御することが求められている。申請者はこれまでに,糊化澱粉を保存した初期に生じる「脆さ」はアミロースの老化,その後の保存で生じる「硬さ」の増加はアミロペクチンの老化が主要因である一方,低濃度の澱粉では保存による顕著な物性変化は認められず,物理的な構造の構築状態が老化澱粉の物性に影響することを見出した。本研究では,澱粉の種類・濃度・保存期間で異なる“特有の物性”を定量的に把握し,それらの物性に起因する物理的な構造の構築状態を明らかにすることを目的とする。
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研究実績の概要 |
澱粉は幅広い加工・調理特性を有し、特有の物性を生み出す。一方、澱粉の種類、濃度、保存によってゲル的・ゾル的性質は大きく変化するため、澱粉特有の物性は限られた条件下で生み出されている。本研究では、澱粉の種類・濃度・保存期間によって異なる物性を定量的に把握し、それらの物性に起因する物理的な構造の構築状態を明らかにすることを目的とした。令和5年度では、テクスチャー測定により、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉の物性を評価した。 試料は小麦澱粉、馬鈴薯澱粉を用いた。澱粉濃度は15%、30%、保存温度は4℃、保存期間は0、1、3、7日間とした。テクスチャー測定では、規定量の澱粉と水を入れたチューブを攪拌しながら95℃で30分間加熱した澱粉ゲルを試料とした。澱粉ゲルは直径10mm、高さ10mmに切り出した後、弾性測定、破断測定、貫入破断測定を行った。 澱粉ゲル調製直後(0日目)の小麦、馬鈴薯の破断曲線は大きく異なり、馬鈴薯は小麦よりも破断荷重、破断歪率いずれも著しく大きかった。すなわち、馬鈴薯は小麦と比べて硬く伸びやすいゲルを形成することが示された。保存した澱粉ゲル(1、3、7日目)では、小麦30%の破断荷重は3日目から有意に増加した。破断歪率は15%では3日目、30%では1日目から有意に減少した。馬鈴薯は15%・30%いずれも保存により破断荷重は有意に増加、破断歪率は1日目に有意に減少した。以上より、小麦、馬鈴薯いずれも15%より30%で物性の変化が早いことを確認した。また、同じ濃度の小麦・馬鈴薯を比較した場合、30%では大きな違いはなかったものの、15%では小麦より馬鈴薯で破断荷重および破断歪率の変化が早く、低濃度(15%)の場合、小麦より馬鈴薯で老化が早いことが示された。また、破断荷重より破断歪率の変化が早かったことから、澱粉の保存に伴う物性変化は、保存初期で脆さとして現れ、その後保存とともに硬くなることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究ではテクスチャー測定、DSC測定を中心に実施するが、テクスチャー測定は、予定していた4種類の澱粉のうち2種類の測定を終えた。DSC測定もおおむね測定を終えているため、おおむね順調に進んでいると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度では、テクスチャー測定およびDSC測定の取り残したデータを取得する。また、テクスチャー測定の結果を詳細に解析し、物性比較のためのチャートあるいはマップを作成する予定である。
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