研究課題/領域番号 |
22K14855
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
石原 利乃 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 研究員 (20792633)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | Leaky gut / 線維芽細胞 / 線維化 / NASH |
研究開始時の研究の概要 |
近年、食の西欧化による肥満を背景としたNASHの患者数の増加が問題視されている。NASH病態である肝臓の炎症・線維化と腸管バリア機能の破綻との関与には不明な点が多い。我々は、腸管上皮バリア機構の維持に重要な腸管上皮を裏打ちする線維芽細胞に着目し、シングルセルRNA-seq解析を行ったところ、腸管線維芽細胞が不均一な集団であり、中でも、NASHモデルマウスにおいて特異的に出現する集団があることを見出した。そこで、本研究ではこのNASH特異的線維芽細胞集団の機能解析により、NASH病態形成におけるLeaky gutの形成メカニズムの解明と腸管バリア機構増強による新たなNASH治療法の開発を行う。
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研究実績の概要 |
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の発症・進展には腸管透過性の亢進による腸内細菌由来の抗原や代謝産物の経門脈的な流入と続発する肝臓内の自然免疫の活 性化の重要性が明らかになってきた。本研究では腸管上皮透過性の改善に重要な新規腸管線維芽細胞の同定と機能解析より、新規NASH治療法の開発を目指すこととし、以下のように検証を進めた。 前年度実施した腸管線維芽細胞におけるシングルセルRNA-seq解析により、NASHモデルマウス特異的な細胞集団を同定した。この細胞集団は腸内細菌代謝産物受容体を高発現していた。この意義を理解するために、マウス初代培養腸管線維芽細胞を用いたin vitroモデルを構築したところ、腸内細菌代謝産物の添加により腸管上皮幹細胞の維持・機能に必須であるニッチ因子を発現する細胞集団の増加が認められた。これに着想を得て、シングルセルRNA-seq解析により見出された細胞集団は腸内細菌代謝産物の刺激によりニッチ因子を発現する細胞集団を制御しているのではないかと考え、NASHモデルマウス食餌である高脂肪・高コレステロール飼料に腸内細菌代謝産物を添加したものを給餌したマウスモデルのタンパク質発現解析を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マウス初代培養腸管線維芽細胞を用いたin vitroモデルでは、腸内細菌代謝産物の添加によりニッチ因子を発現する細胞集団が増加した。シングルセルRNA-seq解析により見出された細胞集団は腸内細菌代謝産物の刺激によりニッチ因子を発現する細胞集団を制御しているのではないかと考えられたため、NASHモデルマウス食餌である高脂肪・高コレステロール飼料に腸内細菌代謝産物を添加したものを給餌したマウスモデルを新たに加えた。NASHモデルマウスと同様に半年間を費やす長期モデルであったにもかかわらず、腸内細菌代謝産物の大半が腸管上皮細胞に吸収されてしまうために、腸内細菌代謝産物の投与方法に難渋している。
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今後の研究の推進方策 |
腸内細菌代謝産物は小腸上皮細胞でその大半が吸収されてしまうことが想定され、大腸への到達が困難であるため、NASHモデルマウスへ複数回の注腸を実施すること、ならびにNASHモデル食餌に腸内細菌代謝産物産生菌を混合することを検討する。
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