研究課題/領域番号 |
22K14861
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分38060:応用分子細胞生物学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
黒田 美都 京都大学, 農学研究科, 助教 (00936627)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | エピゲノム / 接着斑タンパク質 / 幹細胞分化 / ヒストン修飾 / 接着斑 / 脂肪細胞分化 / エピジェネティックス / 細胞外基質 |
研究開始時の研究の概要 |
細胞外基質の「硬さ」などの物理的な外部刺激は間葉系幹細胞の脂肪細胞への分化を制御する。この過程において、幹細胞は物理的刺激を情報として記憶する仕組みをもつが、その分子機構については未解明である。本研究では、この物理的刺激の記憶の分子機構を、物理的刺激の感知および情報伝達機構について研究してきた申請者の研究経験をもとに解明する。具体的な研究内容として、硬さの異なる培養基板や研究室で所有する物理的刺激感知分子(メカノセンサー)を欠損した幹細胞を用いて、エピジェネティックな遺伝子発現制御との関連について調べる。
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研究実績の概要 |
昨年度までに細胞外環境を感知するメカノセンサータンパク質を欠損した間葉系幹細胞株を用いて、細胞全体におけるヒストン修飾(メチル化)について解析した。今年度は、昨年度に引き続いてクロマチン免疫沈降実験により、この修飾変化が生じている特定遺伝子領域の同定を行った。メカノセンサータンパク質ビンキュリンの発現抑制細胞において、野生型細胞に比べ、骨芽細胞への分化を抑制する因子Meflin遺伝子のプロモーター領域のヒストンのリジン残基トリメチル化修飾が増加すること、逆に脂肪細胞への分化を促進するPPARg2遺伝子のプロモーター領域のヒストントリメチル化が増加する傾向にあることが分かった。さらに、ビンキュリン同様にメカノセンサーとして働くCAPについて、CAPの発現抑制細胞を用いても、ビンキュリン発現抑制細胞と同様の傾向がみられた。続いて、培養基板の硬さの「記憶」仮説を検証するため、培養日数の違いによる修飾量の変化について検討を行っている途中である。 また、メカノメモリーの起点となるメカノセンサー分子ビンキュリンについて、分子構造変化の解析を行った。その結果、不活性化型から活性化型にかけて複数の構造状態を見出すことができた。今後このことと、メカノメモリー形成との関連についても調べていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
メカノメモリーの分子実体となる可能性のあるヒストン修飾とその遺伝子領域を見出すことができ、順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
メカノセンサーの発現に応じて、変動するヒストン修飾を担うエピゲノム酵素を同定する。具体的には候補となる遺伝子をsiRNAにより発現抑制実験により同定する。同時に、脂肪細胞への分化評価を行い、間葉系幹細胞の分化との関連について調べていく。また、見出したエピゲノム酵素とメカノトランスドゥーサーである転写因子との関連についても調べる。
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