研究課題/領域番号 |
22K14864
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分38060:応用分子細胞生物学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
相馬 史幸 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 作物研究部門, 研究員 (50869097)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 乾燥・干ばつ / 初期応答機構 / タンパク質キナーゼ / リン酸化 / 乾燥ストレス / シグナル伝達 / 耐性作物 / シロイヌナズナ / イネ |
研究開始時の研究の概要 |
干ばつなどの環境ストレスは作物の収量低下に甚大な影響を及ぼす。環境が劣悪化するなかで安定的な食料生産を維持するためには、乾燥耐性作物を開発する必要がある。そこで申請者は乾燥ストレス応答を統合的に制御しているRAFキナーゼに着目した。本研究ではRAFキナーゼの詳細な機能解明に加え、RAFキナーゼを標的とした遺伝子改変を行うことで実際に乾燥耐性作物の開発が可能であるかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
地球温暖化等の環境変動のなかでも収量を維持できるストレス耐性作物を開発するために、特に問題となっている乾燥ストレスに着目して、植物の乾燥ストレス耐性獲得機構の解明に関する研究を行った。中でも乾燥ストレス情報伝達経路を統合するような上流因子の探索をモデル植物シロイヌナズナを用いて実施した。これまでに乾燥ストレス応答の中心因子として中心的な機能を果たすSnRK2の上流因子の探索を行った。その結果複数のサブグループに属するRAFキナーゼがSnRK2の調節因子であることが示唆された。この複数のRAFキナーゼサブファミリーを機能解析することで、SnRK2キナーゼを介した乾燥ストレス初期応答を明らかにできるのではないかと考え、RAFキナーゼファミリーの機能解析を行った。RAFキナーゼファミリーがそれぞれ欠損した多重変異体を作出し、その評価を行った。その結果、そのRAFキナーゼは乾燥ストレス強度に応じて活性レベルが変化することが示された。さらに、リン酸化試験や表現型の解析を通してRAFキナーゼサブファミリーの詳細な機能解析を行った。以上よりAFキナーゼファミリーが乾燥ストレス強度に応じて活性を増減させることでSnRK2キナーゼの活性を微調整することで、植物が変動する土壌水分条件下のなかで生き抜いていることが示唆された。またイネ等の作物において、RAFキナーゼやSnRK2を介したストレス応答機構を解析するための条件検討やストレス応答の評価方法の確立を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究により、乾燥ストレス強度に応じてRAFキナーゼの活性が増減することで、下流の乾燥ストレス中心制御因子SnRK2キナーゼの活性を調節し、植物が変動ストレスに適応して成長することを示した。これらの結果をまとめて論文化した。さらにイネ等の作物においてもRAFキナーゼの役割を明らかにするため、水耕栽培法を用いたイネの簡便なストレス応答解析法を確立した。一方で、イネ等の作物におけるRAFキナーゼの機能解析等の研究は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
SnRK2の活性を制御するRAFキナーゼサブファミリーを多数同定したが、今だに機能が未解明なものがる。今後はそのRAFキナーゼファミリーの機能解析を行うことで、より詳細な乾燥ストレス応答機構が明らかにできると期待している。また、作物への応用を検討するために、モデル植物シロイヌナズナにおいて明らかにしたRAFキナーゼを介したストレス応答機構が他の作物においても保存されているかを明らかにする必要があると考えている。
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