研究課題/領域番号 |
22K14865
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分38060:応用分子細胞生物学関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
中村 咲耶 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 基礎科学特別研究員 (20845151)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
|
キーワード | コンタクトサイト / Split-GFP / 葉緑体 / オルガネラ / シロイヌナズナ / split GFP |
研究開始時の研究の概要 |
植物細胞では、葉緑体、ミトコンドリア、ペルオキシソーム、小胞体といった複数のオルガネラ間を物質が行き来する代謝経路が駆動し、個体成長やストレス適応を支えている。近年、特に酵母やヒト細胞において、オルガネラ間の物質輸送を効率化するために、異なるオルガネラが膜上で一部結合する特殊な領域 (コンタクトサイト) を形成することが示され始めている。本研究では、植物細胞においてもコンタクトサイトが機能し、オルガネラ間をまたぐ代謝反応を効率化している可能性に着目し、特に光合成を担うオルガネラである葉緑体を中心としたオルガネラ間コンタクトサイト形成因子群の解明に取り組む。
|
研究実績の概要 |
植物細胞では、葉緑体、ミトコンドリア、ペルオキシソーム、小胞体といった複数の細胞小器官(オルガネラ)を行き来する代謝経路が機能している。近年、オルガネラ膜上の一部が他のオルガネラ膜と近接する領域を形成して物質輸送を効率化するオルガネラコンタクトサイトの存在が知られるようになった。本研究は、植物細胞において異なるオルガネラとの連携を担うコンタクトサイトに関わる因子として、特に葉緑体を中心としたコンタクトサイトの可視化と機能因子群の同定を進めた。2023年度は特に以下のような進展があった。 昨年度までに、各オルガネラ膜上に改変型ビオチンリガーゼ(TurboID)を発現させるコンストラクトおよび形質転換体の作製を進めており、今年度はそれらの発現チェックと安定発現系統の整備を行った。これに加えて、2種のオルガネラが接近したコンタクトサイト部分に特異的なタンパク質群を濃縮してくるために、TurboIDを分割した2つの不活性断片を異なるオルガネラ膜上に発現させるSplit-TurboIDのコンストラクト作製を進めた。Split-TurboIDのN末端側およびC末端側断片について複数のタイプの融合コンストラクトを作製し、双方を一過的に発現させたベンサミアナタバコ葉においてSplit-TurboID再構築が起きるかを調べた。その結果、一部の組み合わせにおいてTurboIDの再構成とビオチン化が起きていることが示唆された。そこで、これらコンストラクトについては、2種を安定発現する形質転換シロイヌナズナを作出するとともに、一過的なTurboID再構築を可能にするための薬剤誘導型コンストラクト導入株の作出を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記に記載したように、目的とするコンタクトサイト形成因子をより正確に絞り込むため、TurboIDを分割したSplit-TurboIDを各オルガネラ膜に発現させるコンストラクトの作製を行った。再構築が正常に起きるコンストラクトの整備に想定以上の時間を要したため、研究の進捗はやや遅れていると言える。ただし、Split-TurboIDの発現と機能が確認された組み合わせが得られたため、期間延長した次年度にその組み合わせから得られるタンパク質の質量分析を行うことで、コンタクトサイト関連因子群の同定に取り組めるものと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究計画は、「区分② 補助事業の目的をより精緻に達成するための研究実施」に該当する追加実験が生じたため、期間延長を申請した。延長した最終年度で、異なるオルガネラ間に付与したsplit-TurboIDにより濃縮されたタンパク質群の質量分析を進め、得られたデータの詳細な解析を進める予定である。
|