研究課題/領域番号 |
22K14868
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分39010:遺伝育種科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
岡田 聡史 名古屋大学, 生物機能開発利用研究センター, 助教 (30898002)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ソルガム / 高糖性 / 量的形質 / トランスクリプトーム解析 / ファインマッピング / 量的形質遺伝子座 / 育種学 |
研究開始時の研究の概要 |
ソルガムは、高バイオマス性と高糖性(茎に糖液を蓄積する性質)を兼ね備えることができる重要なエネルギー作物の一つである。しかし、ソルガムの高糖性は環境要因や複雑な遺伝的構造が絡み合った複雑形質と考えら、これまで責任遺伝子の単離が困難であった。本研究では、①糖度と相関する発現変動を示す遺伝子群をマーカーとし、②QTL領域内の部分的な断片置換系統群とマーカー遺伝子群の発現量を比較することで領域を狭め、これを繰り返すという新しい責任遺伝子単離法(CSSLs-eQTL)を提案する。この方法を確立し、ソルガムの高糖性遺伝子を同定することで、糖蓄積メカニズム解明への基盤構築を行う。
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研究実績の概要 |
脱炭素社会構築へ向けて、バイオリファイナリー産業が注目される中、糖はその発酵原料であるため重要であり、糖料作物の高糖性遺伝子はその鍵となる遺伝子である。本研究は、ソルガムの高糖性に寄与する量的形質遺伝子座qBRX-6の責任遺伝子同定を目的としている。ソルガムの茎の糖度は環境要因や複雑な遺伝的構造が絡み合った複雑形質と考えられたため、遺伝子発現量を活用した責任遺伝子同定を目指している。 昨年度、スイートソルガムSIL-05(高糖性、染色体断片導入の母本)、74LH3213(低糖性、ゲノム背景の母本)、74LH改0号(SIL-05断片を74LH3213に導入した系統、高糖性)を供試し、時系列トランスクリプトーム解析を行った。今年度は74LH改0号と74LH3213に対して同様の実験を行った。糖度の増加は昨年度と同じく、開花後に増加していた。2年間の全てのデータを用いて共発現解析による遺伝子発現パターンでのクラスタリングを行い、系統ごとで発現パターンに再現性のあるグループを同定した。また、時系列及び系統間での発現変動遺伝子(DEGs)を検出し、グループ内のDEGsを同定した。これらのDEGsは開花後に発現量が増加し、74LH3213より74LH改0号で発現量が高く、糖度の増加と関連していると考えられた。これらの遺伝子はqBRX-6の候補領域内に座乗しているわけではないが、責任遺伝子の効果と関連する可能性があるため、マーカー遺伝子になると期待された。 昨年度作成した染色体部分置換系統 (CSSLs)を使用して、Brixによるマッピングを試みた。その結果、候補領域は第6染色体の約3.7Mbと考えられたが、表現型のばらつきが非常に大きい系統も存在していたため、再現性を確認する必要性が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、昨年度と同様に時系列トランスクリプトーム解析を行なった。74LH3213と74LH改0号に対して、開花1週間前、開花直後、開花2週後の茎サンプルに対してRNA-seq解析を行った。これらのトランスクリプトームデータと昨年度のデータを合わせて解析することによって、発現パターンが年次安定性を示し、74LH3213と74LH改0号の間で発現変動している遺伝子群の同定に成功した。これらの遺伝子群はqBRX-6による糖度の増加と関連すると考えられたため、マーカー遺伝子として機能することが期待された。 また、ファインマッピングに用いる染色体部分置換系統 (CSSLs)は着実に育成でき、昨年度よりも多様な染色体組換えパターンを持つ系統を作出できた。一方、通常の表現形質(ここではBrix)を用いたマッピングでは、不安定さを残しつつもある程度の結果は得られた。以上の研究状況より、本研究課題はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度までのトランスクリプトーム解析によって、マーカー遺伝子群の絞り込みはおおよそ完了したとみなした。しかし、これら遺伝子群の発現量がqBRX-6の分離と相関しているかを検証する必要がある。そこで、74LH3213×74LH改0号由来のF2集団を用いて発現QTL解析を行い、qBRX-6の分離と同定したマーカー遺伝子候補の発現量に相関が認められるか実験する。 2023年度のファインマッピングの結果、候補領域は約3.7Mbと考えられた。2024年度はこのマッピング結果の再現性を確認する。作出したCSSLsは環境要因を可能な限りコントロールできる温室内で、30個体以上栽培(1カ所10個体、3カ所栽培)し、Brix糖度やショ糖濃度を測定して候補領域の絞り込みを行う。また、作成したCSSLsの一部を用いてマーカー遺伝子の発現量を用いたマッピングも行う。昨年度の結果では表現型が不安定な系統も存在していたため、マーカー遺伝子の発現量に置き換えることで、この不安定さを解消できるか検証する。
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