研究課題/領域番号 |
22K14882
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分39020:作物生産科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
加藤 啓太 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 西日本農業研究センター, 主任研究員 (20773716)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | コムギ / 製粉性 / フェルラ酸 / アラビノキシラン / 多波長画像解析 / 画像解析 |
研究開始時の研究の概要 |
コムギの製粉性は重要な育種目標であり、一定量のコムギ種子から得られる小麦粉の量、“製粉歩留”が高いことが必須である。製粉歩留を求めるには製粉工程が必要であるが、製粉に要するコムギ種子を十分確保できない育種初期世代では、製粉歩留の選抜は不可能であった。本研究では「種子に含まれるフェルラ酸の紫外線吸収波長を指標に画像解析から製粉歩留を推測する、高製粉性コムギ選抜法の確立」を最終目的とする。本申請では製粉歩留に影響を与える遺伝要因と環境要因の影響を明らかにし、これらを画像解析のパラメーターに反映させた実用性のある選抜法を完成させ、様々な条件の試料で利用できることを実証する。
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研究実績の概要 |
コムギの製粉性は実際に製粉して、製粉歩留を算出しなければ明らかにならない形質である。また製粉に必要な小麦種子量を確保するには交配開始から6年程度が必要であるため、種子が少ない育種初期世代では選抜できない形質である。コムギの製粉性に関わる指標である製粉歩留と細胞壁構成成分のアラビノキシランの間で相関があることが知られているものの、その抽出作業は煩雑であるため、実際の製粉性の選抜には使われていない。つまり現状では、製粉性の指標になる製粉歩留は実際に製粉工程を経ないと値を出せない。 研究代表者はアラビノキシランに付随しているフェルラ酸と製粉歩留の間に相関を持つことを明らかにした。またフェルラ酸は紫外線領域に吸収波長を持つために光学的に定量が可能である。そこで、当課題では、コムギ種子断面のマルチスペクトル画像を取得し解析することで、製粉工程を経ずに製粉性の予測をする手法の確立を目指す。 研究代表者が所属する農研機構西日本農業研究センターの育種素材を用いて、アラビノキシラン・フェルラ酸の定量、およびマルチスペクトル画像解析装置VideometerLab4にて種子断面のマルチスペクトル画像解析を行った。複数年度で製粉歩留とアラビノキシラン含有量・製粉歩留とフェルラ酸含有量・製粉歩留とマルチスペクトル画像解析値の間で相関があり、コムギの種子断面のマルチスペクトル画像解析によって製粉性が予測できることを強く示唆した。さらにマルチスペクトル画像解析値は製粉歩留以外の製粉性の指標(ミリングスコア)や灰分移行率とも相関があることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定では硬質コムギ・軟質コムギ問わず製粉性を推測する計画であった。サンプルが軟質コムギだけの条件では製粉性が予測できることが明らかになったが、サンプルに硬質コムギを追加すると製粉性の予測が困難になることが明らかになった。そのため新しく、教師データの選定や分析パラメーターの最適化が必要になったため。
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今後の研究の推進方策 |
先行して、軟質コムギのみの製粉性の予測について、論文執筆中である。また継続して、本法のパラメーターの最適化を行う。さらに本法に影響を与えると推測される、タンパク質含有量や高軟質性、種子の断面形状なども解析パラメーターに追加し、解析モデルを確立する。さらに倍加半数体等の育種実験素材に対しても本法の有効性を明らかにするために、継続して本法による解析を進める。
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