研究課題/領域番号 |
22K14887
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分39030:園芸科学関連
|
研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
森本 拓也 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 講師 (90837634)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | 遠縁交雑 / バラ科果樹 / トランスクリプトーム / 香気成分 / 属間雑種 / 種間障壁 / リンゴ亜連 / ゲノム解析 |
研究開始時の研究の概要 |
近年の気候変動によって作物を取り巻く生育環境は刻々と変化しており,新しい生産体系の構築に向けて,遺伝的多様性を増加させることは育種プログラムの最重要課題である.この点において,種間交雑は,交配に基づく従来型の育種法であるが,遺伝的多様性を飛躍的に増加させることができる.また近年になって,種間交雑は有用形質のやり取りに留まらず,従来からは想像できない形質を発現誘導する可能性が示唆されている.本研究課題では,果樹の雑種系統を材料として,種間・属間交雑による形質多様化の作用機作を解明し,新規育種法や新規作物の開発を行うことを目的としている.
|
研究実績の概要 |
これまでの雑種研究は,交雑障壁の機構やその打破を中心として,どのように新規雑種を獲得するかに焦点が当てられてきた.申請者はこれまでにバラ科果樹の遠縁交雑親和性を網羅的に解析しており,雑種形成の可否を制御する機構解明と新規雑種の作出を行ってきた.本研究では,雑種形成後に生じうる形質やゲノム,発現遺伝子の変化を理解することで,雑種個体の農学的利用に貢献する知見を得ることを目的として,バラ科果樹で作出された種間・属間雑種の解析に取り組んでいる. 2022年度はナシ属の種間雑種(セイヨウナシ×ニホンナシ)を中心として,成熟果実の特性評価(果実形質,品質)およびトランスクリプトーム解析を実施した.親品種と比較した際に雑種個体で特異的に検出される香気成分や含量が多い成分を同定した.一方で,雑種個体で発現変動する遺伝子を探索したところ,異なる遺伝的背景を持つ雑種系統間で共通して発現変動する遺伝子を複数同定した.このことから,雑種化に反応する共通遺伝子の存在が示唆された.また追熟の有無によっても雑種個体と親種の間で特徴的な発現傾向が認められたことから,果実を対象とした解析の独自性が示された.次年度からはホメオロガス遺伝子の発現解析やゲノム解析を実施予定である. さらに,リンゴとナシの属間雑種の作出に成功しており,より遠縁の雑種個体における内的環境の変化とその育種利用についても調査を行う体制を整えた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ナシ属の種間雑種を中心として,雑種化に伴う形質や発現遺伝子の変化の理解に向けた進展がみられ,これまでにモデル植物でも知見が乏しかった研究分野の解析環境の基盤ができた.多様な雑種系統を用いた解析に継続して取り組むことで,本研究のゴールである遠縁交雑による内的環境の変化の解明と育種利用に繋がる知見が得られると期待される.
|
今後の研究の推進方策 |
トランスクリプトームデータのうち,異なる親由来の対立遺伝子を区別して発現解析を行うことで,雑種化による内的環境の変化をより詳細に解析する予定である. また,今年度の成果の一つとして,リンゴとナシの属間雑種の育成を交配ベースで行うことに成功しており,次年度からはオリジナルの材料を核として生育特性やゲノム,発現遺伝子の多様性と遠縁交雑との関連性を解析する計画である.
|