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寄生バチの寄主以外での繁殖を可能とするハイジャック寄生現象の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K14897
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分39040:植物保護科学関連
研究機関筑波大学

研究代表者

藏滿 司夢  筑波大学, 生命環境系, 助教 (10826986)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
キーワードハイジャック寄生 / multiparasitism / 寄主範囲 / 寄生戦略 / 捕食寄生者 / コマユバチ科 / 天敵 / 共寄生 / 非寄主 / クサシロキヨトウ / 寄主適応 / 寄生蜂 / 寄生バチ / カリヤコマユバチ / ギンケハラボソコマユバチ
研究開始時の研究の概要

寄生バチ類の生態の解明は農業生態系の理解と害虫管理において重要である。特に、寄生バチの寄主範囲に関する情報は生態系における寄生バチの機能を知るための基礎情報として欠かせない。
一般に寄生バチの寄主範囲は限られており、非寄主昆虫に産卵された卵は寄主の免疫によって殺される。ところが筆者らは予備試験において、非寄主昆虫であっても、それを寄主として利用できる他種の寄生バチと同時に産卵することで、“非寄主”での繁殖が可能になるという現象を発見した(この繁殖様式の名称を便宜的にハイジャック寄生とする)。
本研究では、野外におけるハイジャック寄生の実態を調査するとともに、生理的メカニズムの解明を目指す。

研究実績の概要

寄生バチ類は種ごとに寄主範囲が限られる。そのため、雌成虫は様々な情報を手がかりに、複雑な環境中において寄主となる生き物を探し出す。その一方で、一部の内部寄生バチにおいては、非寄主昆虫に対してもそれ由来の化学物質に誘引されたり、出会った際に産卵したりすることが報告されている。この時、通常は非寄主昆虫の体内に産卵された子は寄主免疫を克服できず、死亡する。ところが、寄生バチの一種であるカリヤコマユバチは非寄主昆虫(クサシロキヨトウ)であっても、それを寄主とする他種の寄生バチ(ギンケハラボソコマユバチ)と同時に寄生することで、”非寄主”での繁殖が可能になるという現象が発見された。この繁殖様式の名称を便宜的にハイジャック寄生とする。本研究では、野外におけるハイジャック寄生の実態を調査するとともに、生理的メカニズムの解明を目指す。
2年目となる2023年度は、上記ハイジャック寄生の普遍性の検証を行った。カリヤコマユバチがアワヨトウのみを寄主として利用できるスペシャリスト、ギンケハラボソコマユバチが自由生活する多くのチョウ目幼虫を寄主とするジェネラリストであるという生態特性に注目し、前者にとって非寄主、後者にとって寄主であるチョウ目幼虫3種を材料に、これら2種の寄生バチが同時に寄生した際に前者の寄生が成功するのか否かを検証した。その結果、ヤガ科Spodoptera属の1種でハイジャック寄生が成功した一方で、別のヤガ科Spodoptera属の1種およびメイガ科Ephestia属の1種ではハイジャック寄生は成功しなかった。このことから、同寄生バチ2種におけるハイジャック寄生はクサシロキヨトウを寄主とした場合に限られる現象ではないことが明らかになったと同時に、ギンケハラボソコマユバチの寄主となる全てのチョウ目幼虫で同様の現象が生じるわけではないことも示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り進行できている。

今後の研究の推進方策

2024年度はハイジャック寄生の野外での実態解明の解明および普遍性の検証を行う予定である。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (10件)

すべて 2024 2023 2022 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (1件) 備考 (2件)

  • [国際共同研究] Kasetsart University(タイ)

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 国際膜翅目学会第10回国際会議参加報告2023

    • 著者名/発表者名
      清水 壮、大松 勇司、河合 諒人、藏滿 司夢
    • 雑誌名

      昆蟲.ニューシリーズ

      巻: 26 号: 4 ページ: 215-225

    • DOI

      10.20848/kontyu.26.4_215

    • ISSN
      1343-8794, 2432-0269
    • 年月日
      2023-12-25
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Aversive effects of volatiles from intact plants help to fine tune host-searching behavior of the parasitoid wasp, Cotesia kariyai2023

    • 著者名/発表者名
      Ross Socheat、Matsuyama Shigeru、Furukawa Seiichi、Kuramitsu Kazumu、Kainoh Yooichi
    • 雑誌名

      Frontiers in Ecology and Evolution

      巻: 11 ページ: 1-8

    • DOI

      10.3389/fevo.2023.1118905

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 新規侵入昆虫ツマジロクサヨトウはアワヨトウのスペシャリスト寄生蜂カリヤコマユバチにとってevolutionary trap か?2024

    • 著者名/発表者名
      髙橋孝太、藏滿司夢
    • 学会等名
      日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会合同大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Successful parasitism of a specialist endoparasitoid Cotesia kariyai (Watanabe) (Hymenoptera: Braconidae) in a “non-host” caterpillar through multiparasitism with another parasitoid2023

    • 著者名/発表者名
      Kazumu Kuramitsu
    • 学会等名
      10th International Congress of Hymenopterists
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 寄主の乗っ取り:スペシャリスト内部寄生蜂における multiparasitism を介した“非寄主”イモムシでの繁殖2023

    • 著者名/発表者名
      藏滿司夢
    • 学会等名
      日本動物学会第94回山形大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] カリヤコマユバチにおけるギンケハラボソコマユバチとの multiparasitism を介した”非寄主昆虫”での繁殖2023

    • 著者名/発表者名
      藏滿司夢
    • 学会等名
      第67回日本応用動物昆虫学会大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] バイオロジカル・コントロール 第2版2022

    • 著者名/発表者名
      仲井まどか、日本典秀、相内大吾、浅野眞一郎、井上真紀、大井田寛、大野和朗、戒能洋一、勝間進、藏滿司夢、小池正徳、高須啓志、中松豊、中村進、畠山吉則、前藤薫、矢野栄二、吉賀豊司
    • 総ページ数
      200
    • 出版者
      朝倉書店
    • ISBN
      9784254420463
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [備考] Kuramitsu Kazumu Lab's website

    • URL

      https://k-kuramitsu.jimdofree.com

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [備考] 研究代表者website

    • URL

      https://k-kuramitsu.jimdofree.com

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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