研究課題/領域番号 |
22K14900
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分39050:昆虫科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
日野 真人 九州大学, 農学研究院, 助教 (70878082)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | カイコ / 断片染色体 / 人工染色体 / フローサイトメーター / パルスフィールド電気泳動 |
研究開始時の研究の概要 |
カイコは重要な実験昆虫、産業昆虫の1つであり、有用組換えタンパク質生産などに利用されている。その中で、大量の外来遺伝子導入が必要とされているが、大量の遺伝子導入手法は確立されておらず、システムの開発が求められている。そこで、本研究ではカイコまだら系統の持つサイズの小さな断片染色体を利用し大量遺伝子導入に使用可能なカイコ人工染色体作製を試みる。また、複数のまだら系統が存在し、系統によっては断片染色体が細胞から脱落しやすい。そこで、本研究では複数の断片染色体を比較解析し、カイコ細胞において染色体が維持されるのに必要な領域を決定する。
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研究実績の概要 |
研究材料として使用するカイコm201系統について、パルスフィールド電気泳動にて断片染色体の存在を確認した。また、パルスフィールド電気泳動にて分離した断片染色体が存在するゲルの領域を切り出して、断片染色体のみを分離した。当初はこのパルスフィールド電気泳動にて断片染色体を単離・使用する予定であったが、フローサイトメーターにて染色体を分離し断片染色体を単離することを試みた。変更理由としては、より染色体をインタクトな状態で取得することができると考えられるためであり、近年ヒトやマウスの細胞を実験材料としてフローサイトメーターにて内在染色体を分離したという報告がなされている。その報告を参考にカイコ断片染色体の分離を試みた。しかしながら、カイコ染色体のサイズが小さく、他の生物で行われている条件では、うまく染色体を分離することができなかった。そこで、染色体を分離するサンプルの検討やDNA染色方法の検討を行った。条件検討としては、着実に進んでいるものの、最終的な条件決定までには至っていない。 また、フローサイトメーターによる断片染色体の分離と並行して、断片染色体の配列決定実験のために、由来が同じであるm201系統とm203系統について既にゲノム配列が判明しているp50系統とのバッククロスを実施した。今後は、このバッククロス系統のゲノムをNGSにて解析することによって、断片染色体の配列を明らかにする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
断片染色体の分離に手間取ったため、進捗状況としてはやや遅れている。 m201系統について、パルスフィールド電気泳動にて、断片染色体の実体を確認できた。そこで、次に、パルスフィールド電気泳動よりもインタクトに断片染色体を分離できると考えられるフローサイトメーターを用いた染色体の分離を試みたが、カイコ染色体のサイズが小さく期待したような解像度を得ることができなかった。そこで、断片染色体を持つカイコ系統と既にゲノム配列が分かっているp50系統を交配しF1作製後、p50系統でバッククロスを行った。このバッククロスを行った系統で、断片染色体の配列決定を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
断片染色体を持つカイコ系統と既にゲノム配列が分かっているp50系統を交配しF1作製後、p50系統でバッククロスを行った。このバッククロスを行った系統で、断片染色体の配列決定を行う。系統間で、断片染色体配列を比較し、系統間にて表現型に差が出ている断片染色体の保持に関する議論を行う。 また、断片染色体が保持する領域のカイコBACを繋いでサイズの大きなBACを作製し、作製した大きなカイコBACの培養細胞・カイコ個体での挙動を観察する。この時、染色体の保持に寄与するだろうと考えられているテロメアの付加を試みる。内在するテロメア自体の付加は難しいので、テロメリックリピートの付加を行い、細胞内にてテロメアとして機能することを期待する。
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