研究課題/領域番号 |
22K14901
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分39050:昆虫科学関連
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研究機関 | 基礎生物学研究所 (2023) 国立研究開発法人産業技術総合研究所 (2022) |
研究代表者 |
野崎 友成 基礎生物学研究所, 進化ゲノミクス研究室, 助教 (80932467)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 組織特異的倍数化 / シングルセルレベル解析 / 細胞内共生 / 真社会性昆虫 |
研究開始時の研究の概要 |
多細胞生物の代謝が活発な組織において、倍数化した細胞がしばしば観察される。これまで、この細胞の倍数化の意義について「鋳型ゲノムが増大することにより、転写活性が上昇する」といった仮説が提唱されてきている。しかし、細胞の倍数化と遺伝子発現の関係について定量的研究は手法上の困難さもあり非常に少ない。本研究では、昆虫の体組織でみられる特徴的な倍数化細胞について、シングルセルレベルでの遺伝子発現情報を取得・解析する手法を確立しする。そしてシロアリ女王の脂肪体とアブラムシの共生器官の細胞に対し、倍数化と遺伝子発現の関係を明らかにする。生態学的な情報も収集し、組織特異的倍数化の意義を広い視点から解明する。
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研究実績の概要 |
倍数化した細胞は、多細胞生物の代謝活性の高いさまざまな組織・臓器において見いだされるものの、細胞の倍数化と遺伝子発現の関係について定量的に示した研究は少ない。本研究では、昆虫の体組織でみられる特徴的な倍数化細胞について、遺伝子発現情報を取得・解析する手法を確立するとともに、その生物学的意義を探る。具体的にシロアリ女王の脂肪体とアブラムシ共生器官の倍数化細胞に対し、細胞・組織学的、生態学的な情報を収集し、遺伝子発現と倍数化度合いの相関関係を解明する。 本年度はまず、シロアリ女王の脂肪体倍数化についての基礎情報を論文化することができた。脂肪体に対しての遺伝子発現解析については、予備実験を多数行い、シングルセル解析のための安定的な細胞・核のisolate手法およびセルソーティングを確立することに成功した。同時並行で、脂肪体そのものについてのトランスクリプトームライブラリも作成中である(Bulk RNA-seq)。次年度は、実際に1細胞レベルの遺伝子発現解析を行う予定である(single nuclear RNA-seqおよび定量的RT-PCR)。 アブラムシ共生器官については、前年度までに確立した手法である核の単離およびマイクロピッキングを用いて、1核由来のトランスクリプトームライブラリを作成した。同時並行で、共生器官そのもののライブラリを作成しており(Bulk RNA-seq)、解析を進めている。 次年度は現在保有しているシーケンスデータを解析するとともに、倍数化ダイナミクスと相関して発現が変化する遺伝子の探索を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度はやや遅れていたが、得られた実験データを論文化することができた。さらに各種ライブラリの作成と、ドライ解析を開始することができた。次年度中に最終目標である倍数化度合いと遺伝子発現の相関を捉える実験を行う算段がついたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、得られた遺伝子発現情報の解析を進めるとともに、シロアリ女王の遺伝子発現を調べる実験を行う。具体的には裸核した細胞核を用いてシングルセル解析を行い、より詳細に細胞タイプを記述する一方で、倍数性ごとにセルソーティングにより分取した核サンプルを用いて遺伝子発現量およびパターンを比較する。アブラムシの共生器官に関しては、核サイズ(倍数化レベルと強く相関する)の違いによってどのような遺伝子発現の変化が生じるのかを調べる分析手法を確立する。特に染色体分離や細胞周期に関わる因子に着目して解析を行い、倍数化メカニズムについても考察を進める。
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