研究課題/領域番号 |
22K14902
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分39050:昆虫科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
新井 大 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, JSPS 特別研究員 (00912255)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | male-killing / Wolbachia / Spiroplasma / 共生細菌 / チャハマキ / 共感染 |
研究開始時の研究の概要 |
昆虫の共生細菌は、さまざまな生殖操作を引き起こす。オスを特異的に殺す『オス殺し』をはじめ、系統的に異なる細菌が共通のメカニズムを持つのか、どのようなプロセスを経て生殖操作を獲得したのかは明らかでない。本研究の目的は、性をめぐる昆虫と細菌の進化プロセスを明らかにすることである。チャ樹害虫チャハマキのオス殺し細菌WolbachiaおよびSpiroplasmaのゲノム解析と影響の比較から、(1)細菌が昆虫の性を認識するメカニズム、(2)オスを殺すメカニズムの相違点を明らかにする。これらの細菌を複数の昆虫種に移植、表現型・遺伝子発現を調べ、オス殺しの作用範囲(スペクトラム)を明らかにする。
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研究実績の概要 |
2022年度は、まずチャハマキのオスを殺す共生細菌Spiroplasmaのゲノム解析を実施した。ショウジョウバエのオス殺しSpiroplasma(Spiroplasma poulsonii)は、Spaid遺伝子をもとにオスを殺すことが分かっていたが、チャハマキに感染するSpiroplasma (Spiroplasma ixodetis)はSpaidを持っていないことがわかった。このことは、Spiroplasma属細菌が、異なるオス殺しメカニズムを進化の過程で獲得してきたことを示唆している。さらに、S. ixodetisの感染宿主内での局在や、水平感染能力もS. poulsoniiと大きく異なることが判明しただけでなく、チャハマキのオスの発生に及ぼす影響も明らかになった。チャハマキに感染する3種類のオス殺し微生物との影響比較から、これらの微生物は共通の遺伝子を持たず、異なるメカニズムをもとにオスを殺すことが分かり、同一宿主でオス殺しを達成するプロセスが複数あることを初めて示すことができた。二つ目に、Wolbachiaをチャハマキ卵に移植する技術およびチャハマキ卵を用いた遺伝子機能解析系を構築することができた。興味深いことに、移植世代のチャハマキではWolbachiaが高密度で感染していたものの、次世代にWolbachiaが伝搬しないケースが数多く観察された。昆虫による共生細菌の卵移行阻害である可能性がある。これについては次年度以降も解析を続ける予定である。なお、2022年度に得られた成果は、研究論文として発表するとともに、学会でも発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度はオス殺しSpiroplasmaのゲノムを解析できた。チャハマキに感染するオス殺しWolbachiaやオス殺しウイルスとは共通の遺伝子を持たないことから、独自のメカニズムでオスを殺すことが示唆された。これらの成果は、2本の論文として報告できたため、上記の判断をした。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、前年度に決定したオス殺しSpiroplasmaのゲノム情報をもとに、病原性関連遺伝子がどのように宿主昆虫であるチャハマキに影響を及ぼすのかを、遺伝子機能解析をもとに調査する。チャハマキのオスを殺すWolbachiaとSpiroplasmaがそれぞれ標的とする宿主の遺伝子カスケードや、それぞれがオス殺しを誘導できる宿主範囲、またWolbachiaの感染パターンが雌雄間で異なるメカニズムを、種間移植や細胞を用いた生物検定試験および遺伝子発現調査をふまえ明らかにする。
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