研究課題/領域番号 |
22K14903
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分39050:昆虫科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
長峯 啓佑 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 研究員 (20817548)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | オス殺し / 昆虫 / 共生微生物 / ウイルス / 性操作 / 生殖操作 / Male killing / 性比異常 / 共生 / 昆虫ウイルス |
研究開始時の研究の概要 |
昆虫では,細胞内共生微生物の感染によって宿主のオスのみが死に至る“オス殺し”が多数報告されているが,そのほとんどは細菌によるものでウイルスによる例は非常に珍しく,ウイルス性オス殺しの分子機構はほとんど手つかずの状況である. ハスモンヨトウから見つかったオス殺しウイルス(SlMKV)のゲノムには僅か7つの遺伝子がコードされている.本課題ではReMOT法と遺伝子組換え技術を用いて7つの遺伝子からオス殺し遺伝子を特定し,さらに,オス殺しの標的となる宿主の生命現象を次世代シーケンス解析や遺伝子組換え技術,培養細胞系を用いて特定する.これらの結果を総括し,ウイルスによるオス殺しの分子機構解明を目指す.
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研究実績の概要 |
昆虫では,細胞内共生微生物がオス宿主を特異的に死亡させる“オス殺し”が多数報告されているが,オス殺しのほとんどは細菌によるものでウイルスによる事例はわずかであり,ウイルス性オス殺しの分子機構はほとんど分かっていない.ハスモンヨトウから見つかったオス殺しウイルス(SlMKV)のゲノム解析を行った結果,ゲノム上には僅か7つの遺伝子しかコードされていないことが明らかになった.そこで本研究では,ウイルス遺伝子を導入した組換えカイコを利用した機能解析,およびReMOT法を参考にした卵移行性組換えウイルスタンパク質を利用した機能解析によりオス殺しを引き起こすウイルス遺伝子の特定を試みた. これまでに作出した各ウイルス遺伝子を導入した遺伝子組換えカイコについて,それぞれのウイルス遺伝子を強制発現させたところ,いずれの遺伝子を発現させてもオス殺しは再現されなかった.一方,卵移行性のウイルス組換えタンパク質については,これまでに発現精製してきた3つ遺伝子に由来する組換えウイルスタンパク質を、宿主であるハスモンヨトウのメス成虫にそれぞれ注射したところ,これら3つのタンパク質は次世代の胚に導入されるものの,いずれのタンパク質を導入してもオス殺しは再現されなかった. 以上の結果から,本研究ではオス殺しの原因遺伝子の特定には至らなかったが,今後オス殺しの原因遺伝子を特定するには,以下のような可能性を考慮して解析を進める必要があるだろう.1)SlMKVの遺伝子は本来の宿主ではないカイコに対してオス殺しを起こさない.2)卵移行性組換えタンパク質として精製できなかった残り4つの遺伝子のいずれかがオス殺し遺伝子である.3)単一の遺伝子ではオス殺しを起こさない(複数の遺伝子が機能してオス殺しを起こす).4)タンパク質を介さずウイルスRNAそのものがオス殺しを引き起こす.
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