研究課題/領域番号 |
22K14906
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分39060:生物資源保全学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鈴木 研志 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任助教 (80870188)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 微生物生態系 / 代謝ネットワーク / 環境保全 / 自己組織化 / 個体群内不均一性 |
研究開始時の研究の概要 |
生物資源の保全は社会にとって必要不可欠であるが、生物の生息圏は刻々と減少しており、失われた自然の再生が急務である。本研究では、生命に必須な物質循環の中核を担う微生物生態系がどの様に機能を安定維持するのかを、微生物の自己組織化に着目することで解明を目指す。その為に、複数の微生物を用いたモデル微生物生態系を構築し、個々の微生物が役割分担する様を個体群および1細胞レベルでの代謝や遺伝子転写の揺らぎから捉える。また、個体群内に生じる形質の不均一性の足し合わせを考えることで、全体としての機能維持機構を解明する。
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研究成果の概要 |
Comamonas thiooxydans R2株個体群内における代謝物授受を解析した結果、少なくとも51種の代謝物を再分配する代謝ネットワークを構築し、その形を変えつつ個体群を維持することが示唆された。また、培養上清中の代謝物の増殖への影響を解析した結果、増殖を促進・抑制する物質が含まれることが示された。つまり、これらの物質が個々の細胞の代謝状態を変化させることで不均質な集団となることが考えられた。さらに複雑な微生物群における代謝ネットワークを解析するため、5種からなる微生物群の代謝物解析を実施した結果150以上の代謝物からなる複雑なネットワークが形成されていることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で明らかにした個体群内あるいは群集内で生じる代謝ネットワークと機能的安定化に関する知見は、如何にして微生物が集団として自己組織化し機能を発揮・維持するのかを、代謝物の授受という観点から明らかにできることから、微生物生態学的に極めて重要な知見である。また、これまで個体群でさえ理論的な制御は難しく、その方法確立や微生物群のデザインが微生物利用技術におけるボトルネックとなっていた。本研究で得られた知見に基づき、代謝ネットワークをデザイン・制御するという切り口から微生物制御理論を確立することで、より効率的な物質生産や環境浄化が期待されることから、社会的意義が極めて高いと判断できる。
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