研究課題/領域番号 |
22K14907
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分39060:生物資源保全学関連
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研究機関 | 日本獣医生命科学大学 |
研究代表者 |
石原 慎矢 日本獣医生命科学大学, 応用生命科学部, 講師 (80879627)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ヤケイ / 内在性レトロウイルス / 全ゲノムデータ / RNAseq / 日本在来鶏 / ニワトリ / 形質獲得 |
研究開始時の研究の概要 |
ニワトリ品種の多様化要因を解明は、遺伝資源を持続的利用する観点から重要である。内在性レトロウイルス(ERV)は宿主ゲノムの多様化に影響を持つことから関心が高まっている。本研究では、商用鶏および日本在来鶏におけるERVが遺伝子発現に及ぼす影響の解明を目的とする。まず、商用鶏および日本在来鶏におけるERVのゲノム中座位を特定する。次に、近傍あるいは内部にERVが挿入された遺伝子において発現量への影響を検証する。さらに、検出されたERVの挿入年代を推定する。本研究の成果は、単なるニワトリ品種の多様化要因の解明のみならず、在来鶏の遺伝資源としての保全および系統進化に関する研究発展への寄与が期待できる。
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研究実績の概要 |
本研究では商用鶏および日本在来鶏における内在性レトロウイルス(ERV)が遺伝子発現に及ぼす影響の解明を目的としている。本目的を達成するために商用鶏および日本在来鶏におけるゲノム上座位の同定をの課題の一つとして設定した。ERVの遺伝子構造として両端にLTR(Long terminal repeat)をもち、その間にgag, polおよびenv遺伝子を持っている。商用鶏および日本在来鶏と比較するための基礎情報として祖先種であるヤケイ属の全ゲノムデータを用いて参照ゲノムに存在しないERV由来のLTR座位の特定を行った。亜種を含むセキショクヤケイ、ハイイロヤケイ、セイロンヤケイおよびアオエリヤケイの4種合計で835のERV座位が確認できた。セキショクヤケイ、ハイイロヤケイ、セイロンヤケイおよびアオエリヤケイで検出されたERV由来のLTR遺伝子座の数はそれぞれ362、216、193、128座 であることが判明した。またハイイロヤケイとセイロンヤケイの間で共通のERVが多く見られた。これらの成果はScientific reports誌に掲載された。またリファレンスゲノム上に存在しないERVについてロングリードデータを用いて解析し内部構造を解明した。ロングリード解析の結果ERVのゲノム挿入痕跡であるTSDは18座位において確認することができた。これらの座位にマッピングされたリードはそれぞれERV配列を有しており、8座位が内部構造を持つERV、それ以外の10座位はLTR配列のみを持っていた。内部構造を持つERVは6座位がenv遺伝子に欠損を持つEAV-0で、残りの2座位がpol遺伝子を持たないEAV-HPと古い時代に分岐したと考えられるEAV-E51であった。この成果については日本畜産学会第131回大会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
薩摩鶏および対馬鶏の全ゲノムデータを取得して現在解析を進めている。さらに商用鶏および日本在来鶏である土佐鶏、八木戸について全ゲノムデータからERVの座位を特定した。またこれらの品種についてRNAseq解析を実施しERVの挿入と遺伝子発現の関連性について解析を実施している。
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今後の研究の推進方策 |
ヤケイのデータに加え商用鶏、薩摩鶏、対馬鶏、土佐鶏、八木戸のニワトリERVのゲノム中座位を特定し比較することで国内におけるERVとニワトリの多様性およびヤケイとの関連性について取りまとめる。さらにERVの詳細な構造を解明するためにコストを削減したアンプリコンロングリードシークエンスの使用する。
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