研究課題/領域番号 |
22K14909
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分39060:生物資源保全学関連
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
高田 隼人 東京農工大学, 農学部, 特任准教授 (80816968)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 種間競争 / 消費型競争 / 干渉型競争 / 生理ストレス / 採食行動 / 大型草食獣 / ニホンカモシカ / ニホンジカ / 採餌効率 / ストレス / 警戒行動 |
研究開始時の研究の概要 |
日本各地でシカの増加に伴うカモシカの減少傾向が報告されており、複数の地域でカモシカの絶滅が危惧されている。種間競争を通じてシカがカモシカを減少させている可能性があるものの、その証拠はこれまでに示されていない。本研究では、シカ密度の異なる地域において、カモシカ個体の行動・栄養・生理状態、個体群パラメータを比較する。これによりシカがカモシカに与える負の影響を検出し、競争の証拠の提示とカモシカの減少メカニズムの解明を目指す。
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研究実績の概要 |
ニホンカモシカ(以下、カモシカ)は日本の山岳生態系を代表する大型草食獣であるが、近年全国的に個体数が減少傾向にあり、一部の地域個体群は絶滅が危惧されている。そのため、カモシカの減少要因の解明は本種を含めた山岳生態系の保全のために喫緊の課題である。カモシカの個体数減少の要因として同じく大型草食獣であるニホンジカ(以下、シカ)との種間競争の可能性が指摘されているものの、このことを明確に示す研究はこれまでにない。本研究では、シカ密度の異なる環境条件の類似した2つの地域において、シカによる植生への影響、カモシカ個体の行動・栄養・生理状態、個体群パラメータ(繁殖成功率・成幼比・個体群密度)を比較する。これによりシカが直接的もしくは間接的にカモシカに与える負の影響を検出し、競争の証拠の提示とカモシカの減少メカニズムの解明を目指す。 現在までに(1)シカの相対密度の評価、(2)植生の評価、(3)カモシカの行動の評価、(4)カモシカの生理ストレスの評価、(5)カモシカの採食物の栄養学的質の評価、(6)カモシカの個体群の評価を実施した。その結果、(1)シカの糞塊密度は二つの調査地間で約4倍の差があること、(2)シカ高密度地域では忌避植物(マルバダケブキ・コバイケイソウ)の株数が多く、広葉草本の多様性が低く、食物資源がグラミノイド(イネ科・カヤツリグサ科)に偏っていること、(3)シカ高密度地域ではカモシカの警戒頻度が高く、春の採餌効率が低く探餌労力が高い傾向があること、(4)シカ高密度地域のカモシカの糞中コルチゾール濃度はシカ低密度地域に比べて高い傾向があること、(5)カモシカの糞中粗たんぱく質含有率および総繊維量は地域間で差がないこと、(6)カモシカの個体群密度はシカ低密度地域に比べて高密度地域で低いことが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、フィールド調査の実施ができ、データの取得が行えたため。
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今後の研究の推進方策 |
カモシカの「繁殖成功率」「個体群密度」「齢構成」を明らかにするために個体識別を実施しているが、こちらは経年的なデータが必要であることから継続して調査を実施する。さらに、シカ密度の違いに応じたカモシカの食性の違いを評価するために採食行動の評価および糞の顕微鏡分析を追加で実施する。
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