研究課題/領域番号 |
22K14923
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
服部 友香子 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 研究員 (80909862)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | Valsa属 / Cytospora属 / Phaeobotryon属 / 樹木病原菌類 / 病原性 / Botryosphaeria属 / Diaporthe属 / 内生菌 / 分類 / 分子系統 / Diaporthales / 分布推定 |
研究開始時の研究の概要 |
近年の気候変動や植栽木の老齢化に伴い,サクラ類樹木の衰退・枯死が問題となっている.その原因の一つとして胴枯病が知られているが,その病原菌とされるディアポルテ目菌群についての分類,生態および病理学的な知見の欠如により,全国的な本病による被害の実態やその発病メカニズムは明らかにされていない.この病害の早期の診断および防除のためには,病原菌類の基礎的な情報の欠如を埋め,将来的な病害リスクの評価を行う必要がある.本課題では,全国でのサクラ類の胴枯病に関する病害調査,その病原菌類の分類学的所属および分布,各品種に対する病原性や培養上の温度傾向を明らかにし,将来的な被害予測を試みる.
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研究実績の概要 |
昨年度に引き続き全国でのサクラ胴枯病の被害調査を実施した。北海道・東北・関東・中部・中国地方合わせて1道8県で調査を行い、北海道名寄市および長野県上田市にてCytospora属によるサクラの胴枯性病害を発見した。得られたサンプルから新たに菌株を確立し、形態観察と分子系統解析とを行うことでその分類学的所属を明らかにした。また、得られた菌株のうち、2菌株を用いてサクラ属樹木4種(エドヒガン、オオシマザクラ、オオヤマザクラ、ヤマザクラ)へ有傷での接種試験を行った。接種34 日後に全ての樹種で壊死斑の形成が確認され、本菌がサクラ属4種に対して病原性を有することが明らかになった。その一方で、供試菌株間でも壊死斑長に差があったことから、菌株によっても病原力は異なる可能性が高いと推測された。さらに、サクラの種ごとに壊死斑長は異なり、宿主の種によって本菌への感受性は異なることが推測された。これらの結果は、サクラの胴枯性病害の防除法およびリスク評価を考える上で重要な知見である。また,バラ科樹木の枝枯性病害を調査する中で,リンゴおよびヤエヤマブキの枯死枝上に、日本国内では未記録であったPhaeobotryon 属(Botryosphaeriaceae)の一種を発見した。本菌はその形態的特徴および分子系統学的位置から、日本新産種Phaeobotryon aplosporum M.Pan & X.L. Fa と同定された。本属菌には樹木病原菌が含まれることから、今後も分布および生態を明らかにする必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、昨年度に引き続きサクラ胴枯病の被害調査を実施し、新たな病害サンプルと菌株を得た。また、研究計画通り、複数種のサクラ属樹木に対するサクラ胴枯病菌の接種試験を実施しその病原性を確認した。以上の事からおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
採集年度は、これまでに得られた菌株を用いて異なる温度での培養試験を行うことで温度特性の評価を行う。また季節を変えた接種試験を行うことで、様々な条件下における病害発生リスクの評価を試みる。
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