研究実績の概要 |
本研究では、近赤外ハイパースペクトラルイメージング(NIR-HSI)法よって得られる材内水の分布情報およびデジタル画像相関(DIC)法やX線CT法によって得られる材の変形情報に、有限要素法やAI学習などを適用して、割れの予測や最適な乾燥条件を自動提案する手法の確立を目標としている。 2022年度には、NIR-HSI法によって得られた材内の水分布の可視化結果をもとに、シミュレーションの初期パラメータを調整して再現性が高い木材乾燥モデルの構築に成功した。このモデルでは①乾燥時には密度が高い部位の乾燥速度が遅いこと、②脱水が進むにつれて木材試料の表層が大きな勾配が生じることなどの特徴が実測値と一致していることを確認した。 2023年度には、X線マイクロCTを用いた木材3Dモデルの改善を行い、有限要素法(FEM)解析でシミュレーションした含水率分布がNIR-HSIで実測した乾燥中木材の含水率分布と高い精度でよく一致していることを確認した。さらに、NIR-HSI法よって得られる材内の水分布情報およびX線CT法によって得られる材の変形情報に、有限要素法やAI学習などを適用して、割れの予測モデルの構築にも成功した。これらの成果を国際学会(the 21st International Conference on Near Infrared Spectroscopy)で一度、2件国際ジャーナルへの論文投稿(Journal of Wood Science 70,1,2024) (Current Forestry Reports, 9, 401-412, 2023)を行った。これらの研究成果を基に、より効率的で信頼性の高い木材管理や乾燥条件の最適化手法を開発していくことが期待される。
|